欧州

2026.09.21 07:00

「エネルギー超大国」ロシアが燃料を輸入 ウクライナ軍の攻撃で製油所に打撃

ロシアの首都モスクワで、ウクライナ軍の無人機攻撃を受けて火災が発生した製油所。2026年6月18日撮影(Sefa Karacan/Anadolu via Getty Images)

ロシアの首都モスクワで、ウクライナ軍の無人機攻撃を受けて火災が発生した製油所。2026年6月18日撮影(Sefa Karacan/Anadolu via Getty Images)

ウクライナ軍によるエネルギー施設への攻撃が続いていることから、ロシアは深刻な燃料危機に陥っている。同国ではガソリンを求める市民が長蛇の列を成し、一部地域では燃料の配給制が導入されるなど、経済にも影響が及んでいる。

この危機はロシアの国境を越えて波及し、米国でもディーゼル燃料(軽油)価格が1ガロン(約4リットル)6ドル超に高騰している。これを受け、ドナルド・トランプ米大統領はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に対し、ロシアの石油精製所への攻撃を停止するよう要請した。これは、緊張が高まる米ウクライナ関係の新たな火種となった。トランプ大統領はロシアに対しても、ウクライナのエネルギー施設への攻撃を停止するよう求めた。

ウクライナ軍の攻撃がもたらす影響は無視できないものの、これは世界のエネルギー価格、特にディーゼル燃料価格を押し上げている主因ではない。エネルギー価格の高騰を招いている構造的な原因は、ホルムズ海峡を巡る危機だ。同海峡を通じたエネルギー供給の混乱は、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が10日、サウジアラビアを東西に走るパイプライン「ペトロライン」を攻撃したことで深刻化している。とはいえ、ウクライナの動きは国際市場を揺るがし、ユーラシア大陸の大規模なエネルギー供給網の流れを変える可能性を秘めている。

トランプ大統領は14日、ロシアとウクライナがエネルギー施設への攻撃を互いに停止することで合意したと、ソーシャルメディア(SNS)に投稿した。これに対し、ウクライナ当局はそのような合意については把握していないと反論し、ゼレンスキー大統領も、ロシアが合意を順守するとは考えられないと述べた。

こうした対立は目新しいことではない。エネルギー問題はかねてより、ロシアによるウクライナ侵攻の鍵となってきた。ロシアはウクライナの発電所を徹底的に破壊しようとしながら、エネルギー分野での自国の優位性を欧州に対する圧力として利用してきた。

戦略的な観点から見れば、ロシアは依然としてウクライナの農業や工業を停止させ、国民の士気をくじくことに固執している。ロシア軍は昨冬、発電、送電、配電施設を含むウクライナのエネルギー施設を繰り返し標的にした。最近では、ロシア軍の無人機(ドローン)が、小規模で防御力の弱いウクライナの変電所を集中的に攻撃している。これは、主要な発電所が稼働し続けていても、電力供給網に打撃が及ぶことを狙ったものだ。送配電施設への攻撃は、稼働中の原子力発電所からの電力供給も妨害する恐れがある。ロシアはウクライナのエネルギー施設を弱体化させることで、同国のエネルギー供給体制の維持や戦争継続の費用を増大させている。

一方、ウクライナ軍は、ロシアの主要なエネルギー供給網に対して攻撃を仕掛けるという侵攻初期の戦術から、同国の石油精製能力を消耗させ、政府の収入源を断つことを目的とした、長期的に続く消耗戦の戦略へと転換した。ウクライナ軍はまた、ロシアの戦争遂行能力を支える後方支援を混乱させ、同国の一般市民の生活を困窮させている。ウクライナの戦略の進化とともに、世界の燃料市場にかかる圧力も増している。

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翻訳・編集=安藤清香

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