かつて長崎の出島が、鎖国下の日本で唯一世界に開かれた窓だったように。本体組織から少し離れた場所で、新しい価値を生み出す組織を「出島組織」と呼ぶ。そうした出島組織の知恵や経験を交換する場として、長崎で「出島組織サミット」が2021年から開催されている。
この連載では2024年2月に発行した書籍『出島組織というやり方ーはみ出して新しい価値を生むー』に収録しきれなかった、日本各地の面白い出島組織の実践者たちに話を聞いていく。
今回の舞台は、福岡県福岡市。ソーシャルビジネスをグループで展開する、ボーダレス・ジャパンだ。
社会課題解決のためのビジネス(ソーシャルビジネス)しかやらない」そう言い切る企業がある。名前は「ボーダレス・ジャパン」。
この6月には、代表の田口一成さんがForbes JAPANの表紙を飾ったため、知る人も多いだろう。貧困、不登校、気候変動、多文化共生など、さまざまな社会課題の解決に挑み、世界15カ国で48ものソーシャルビジネスを実践。売上はいまや100億円を超える。「本体から一歩ふみ出し、新しい価値を生み出す」ことが出島組織のあり方だと考えた時、次々と難しい社会課題へ一歩ふみ出し、新たな組織を生み出し続けるボーダレス・ジャパンのあり方は、ぜひとも学んでおきたい。
「ソーシャルビジネスしかやらない」とはいまの社会にとって、どんな意義があるのか。真似できる仕組みがあるのか━━。
ボーダレス・ジャパンとはいったいどんな会社?
━━あらためて、ボーダレス・ジャパンとはどんな会社なのか教えていただけますか。
田口一成:ボーダレスは、一言で言えば、現代社会における多様な社会課題に対して「ビジネス」という手段を用いて解決を目指す会社、およびそのグループです。このビジネスを「ソーシャルビジネス」と定義して、その実践者である社会起業家が増えていくことを一番の目的としてきました。
━━挑む社会課題は、国内に限らずですか?
田口:そうですね。私たちが海外での事業展開に注力していると、「なぜ日本国内の社会課題を差し置いて海外に行くのか」というご指摘をいただくことがあります。しかし、現在の国際情勢を見れば明らかなように、経済システムも気候変動もすべての問題はグローバルに、不可分につながっています。ですから、遠く離れた地域にある社会課題を「自分たちには関係ない」と放置することはできないと思っているんです。
━━なるほど、すばらしいですね。けど、僕はボーダレスに対して世の中の人たちが「すばらしい」「尊い」「自分たちとはちがう」と感じて一線をひいてしまう、その壁をなんとか超えたいなといつも感じてまして。
田口:そう! 僕ら「ふつう」なんですよ。



