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2026.09.20 10:30

メルク株が1年で87%上昇した理由 、決算書には表れない将来への期待

raquel - stock.adobe.com

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米製薬大手メルクの株価は、この1年でおよそ87%上昇した。79ドル前後から147ドル前後への値動きだ。ところが、この1年の決算をいくら読み込んでも、その上昇を説明する数字はどこにも見当たらない。メルクが現在、販売している薬は、これまでと変わらないペースで伸びただけだ。投資家がこの1年をかけて値付けし直していたのは、現在、販売している薬の先に控えているものすべてだ。

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先行した買収費用と遅れて届く製品化の成果

直近12カ月の売上高は666億ドル(約10兆4600億円)で、4.6%の増収だった。これは同社自身の過去3年の伸びとほぼ同じペースである。だが、利益は売上ほどには伸びなかった。同じ12カ月の営業利益率は10.5%。過去3年の平均は22.4%である。

この差のほとんどは、わずか1件の企業買収に行き着く。メルクは2026年第2四半期に、57億ドル(約8950億円)の費用を計上した。年間売上高のおよそ9%に当たる額である。買収したのはバイオ医薬品企業のターンズ・ファーマシューティカルズで、これにより慢性骨髄性白血病の治療薬候補MK-4208を手に入れた。費用はいまの決算が吸収し、薬が世に出るのはあとになる。

その間に、パイプラインは実力を示し始めた

パイプラインが示した証拠が重要なのは、メルク株にとって一つの大きなリスク要因が存在するからだ。2026年第2四半期には、がん免疫療法薬キイトルーダ(KEYTRUDA)の製品群だけでメルクの売上高の半分あまりを占めた。そのキイトルーダは、2028年に米国での主要な特許保護を失う。同社はこの独占販売の終わりに向けた計画を、明確かつ透明性高く開示している。経営陣はこの局面を「崖というより丘」と表現する。一時的な伸び悩みを経て、速やかに再成長軌道へ回帰するという見解である。

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同じ12カ月のリターンは、ジョンソン・エンド・ジョンソンが56%、ファイザーが23%である。製薬業界にとって好調な1年だったことは、メルク株の上昇の一部を説明する。だが、他社を引き離した分までは説明できない。メルクを他社から分けたのは、パイプラインが実際に結果を出したという証拠である。FDA(米食品医薬品局)は、PCSK9阻害薬(悪玉コレステロールを強力に下げる薬。これまでは注射剤しかなかった)として初めての、そして唯一の飲み薬であるLIPFENDRAを承認した。CORALreef Lipids試験では、スタチン(コレステロール低下薬の標準薬)に上乗せして使ったところ、LDL(悪玉)コレステロールを最大60%下げた。

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翻訳=酒匂寛

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