サウジはなぜいま弾道ミサイルを発射したのか
サウジアラビアはなぜいま、イエメンで弾道ミサイルを使用することを選んだのか。理由は判然としないが、いくつか考えられる。
サウジアラビアは西側製の装備を導入した高度な空軍を擁しており、米国製のF-15SAや欧州製のユーロファイター・タイフーンといった高性能な戦闘機をかなりの数配備している。これらのサウジアラビア空軍機は、敵の防空システムの射程圏外から遠距離目標を攻撃可能なスタンドオフミサイルも装備する。具体的に言えば、巡航ミサイルの「ストームシャドー」や「AGM-84H SLAM-ER」などを備え、これらのミサイルの射程は240~270km程度ある。
サウジアラビア空軍は7月、フーシの支配下にあるサヌア国際空港の滑走路にAGM-84H SLAM-ERを撃ち込んだとみられている。フーシがイランとの間に、「空の回廊」を築こうとする試みを阻止する狙いだったようだ。繰り返すと、こうした兵器を使えば、戦闘機は敵の防空システムの射程外にとどまりながら、遠く離れた目標を攻撃できる。
だとすれば、サウジアラビアがなぜ今回、イエメンを攻撃するのにわざわざ地対地ミサイルを使うことにしたのか、なおさら疑問になる。イエメン国内や中東全体での最近の対立激化を受けて、サウジアラビアは、より強硬な対応を取る用意があるというシグナルを送らざるを得なくなった可能性がある。
7月の空港攻撃以降、フーシはサウジアラビアに対し、ミサイルやドローン(無人機)による攻撃を強化した。また、紅海でサウジアラビア船舶の航行の封鎖を図っているほか、サウジアラビアが支援し、国際的に承認されたイエメン政府側に対して、紅海沿いのイエメン西岸を南下する形で攻勢をかけた。さらに、サウジアラビアが南側のフーシだけでなく、北側の勢力からも攻撃されて「挟撃」状態に陥りつつある危険な兆候もある。9月11日、北側のイラクから発射されたドローンによって、ペルシャ湾側から紅海側に原油を陸上輸送する「東西パイプライン」が攻撃された。
より最近の動きとしては、サウジアラビアは、15日夜にイスラム教の聖地メッカの南方でフーシのドローンを撃墜したと発表した。フーシがメッカを攻撃しようとしたのは2017年以来2回目だという。フーシは攻撃への関与を否定している。またフーシは16日、イエメン中部マーリブ県の上空でサウジアラビア空軍のF-15を撃墜し、残骸を捜索していたほかのF-15やユーロファイターを撤退に追い込んだとも主張した。


