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2026.09.18 17:46

AIエージェントと「イノベーターのジレンマ」が決済を変革する

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エージェンティック・コマース(自律型AIエージェントによる商取引)は決済業界を破壊しており、先見の明のあるリーダーたちに新たなイノベーションの機会をもたらしている。

この変化の背景にあるストーリーは、インターネットの黎明期にまで遡る。当時、決済を処理する機能がコアプロトコルに組み込まれていたものの、使われることはなかった。その結果、オンライン決済はグローバルな決済プロセッサーやフィンテック(金融テクノロジー)プラットフォームが所有するネットワークを経由することになった。これらの企業が請求する取引手数料によって少額決済はほとんど現実的でなくなり、ビジネスモデルが規定され、存在し得る事業の種類さえも制限することになった。

例えば、ニュース出版社は個々のコンテンツに対して少額の課金をすることができなかった。ソフトウェア企業も1回のAPI呼び出しに対して簡単に請求することができなかった。決済の摩擦により、あらゆる価値のカテゴリーがバンドル販売や広告支援モデルへと押し込められてきたのだ。

これは、クレイトン・クリステンセンの「イノベーターのジレンマ」理論の教科書通りの構図だ。破壊的イノベーションは、市場のトップから始まるのではなく、既存プレイヤーが採算を合わせられないセグメントから始まり、そこから上位市場へと移行していくことが多い。既存プレイヤーは、ほぼゼロのコストで1セントの10分の1(0.1セント)を決済するようなインフラを構築することは決してなかった。自社の手数料モデルを共食い(カニバリゼーション)してしまうからだ。

しかし現在、エージェント型AI(自律して行動するAI)がマイクロトランザクション(超少額決済)を処理できる決済レイヤーへの需要を喚起しており、その結果、このニーズを満たすための新しい決済レールが出現しつつあると私は見ている。

AIエージェントがマイクロペイメントを促す

この破壊的変化は、この1年で顕著になった。自律型AIエージェントは、ツールを呼び出し、データを購入し、コンピューティング資源を借り、機械の速度でサービスを組み合わせることができる。しかし、取引プロセスは人間向けに設計されてきた。エージェントには、ログイン画面や調達サイクルを経ずに支払う方法が必要だ。

4月、決済をウェブ上のやり取りに直接組み込む、決済のためのユニバーサル標準が立ち上げられた。その数週間前には、「エージェントが決済を行うためのインターネットネイティブな手法」を提供する「マシン・ペイメンツ・プロトコル」(MPP)が発表されている。

開発者であれば誰でもライセンス料なしでこれらのプロトコルを実装でき、どのような企業でもファシリテーターを運営したり、競合するウォレットを構築したりできる。特定のベンダーがこのレイヤーを独占することはないため、ロックイン(囲い込み)の懸念も払拭される。すでに大企業は、エージェントによる即時取引を可能にするインフラの実験を進めており、エージェントがブラウザーのセッションごとに支払いを済ませたり、テイクアウト用のサンドイッチを注文したりすることさえ可能にしている。

上位市場への拡大経路

プロトコルがマイクロペイメントを確実に処理できるようになれば、同じ決済レールでより大きな取引を処理できるようになる。0.1セントを200ミリ秒で決済するプロトコルは、同じインフラで$10(約1万未満円)や$10,000(約156万円)も決済できる。ユースケースはすでに、APIの決済からホテルの予約、加盟店取引へと拡大している。

既存プレイヤーも何が起きるかを見抜いている。ビザ(Visa)とマスターカード(Mastercard)は、新しい決済規格を推進するx402 Foundationに参画し、アメリカン・エキスプレス、アディエン(Adyen)、ペイパル(PayPal)などの企業とともに、グーグルの「エージェント・ペイメンツ・プロトコル」(AP2)に署名した

この動きもまた、既存市場が既存ビジネスに不利となり得るユニットエコノミクス(顧客1単位あたりの採算性)から自らを守ろうとするイノベーターのジレンマを反映している。もちろん、エージェントの急成長とエージェンティック・コマースの台頭により、既存プレイヤーははるかに大きくなったパイの、より小さな割合(シェア)を喜んで取り込むことができるかもしれない。また、オープン化が常に既存プレイヤーに打撃を与えるとは限らない。例えばインドでは、決済分野の新規参入企業が市場シェアを拡大しているものの、既存プレイヤーは概ねそのシェアを維持している

決済イノベーションの時

リーダーはこの破壊的変化を、イノベーションへの招待状として捉えるべきだと私は考える。レガシーなシステムの下では存在し得なかった製品カテゴリー全体が、エージェントネイティブな決済レール上で実現可能になるだろう。

実用的なアプローチの1つは、販売可能な価値の最小単位を見つけ、そこからスタートすることだ。必要な仕組みはすでに整っている。「Amazon Bedrock AgentCore」の決済機能のようなサービスには、利用限度額の設定、本人確認(アイデンティティ)制御、承認ワークフロー、監査証跡(オーディットトレイル)が含まれており、ガバナンスが障害になることはない。

監視やオーケストレーションの機能に加え、組織は顧客、従業員、規制当局などの主要なステークホルダーが、エージェントによるワークフローの実行を信頼できるようにする必要がある。ゼロトラスト対策は、エージェントのすべてのアクションに対する継続的な認証と認可をサポートし、「Policy as Code(コードとしてのポリシー)」のような機能は決定論的な実行を強制し、機械可読なガードレールを作成できる。適切なテクノロジー基盤は、信頼を構築するために不可欠なガバナンス、説明可能性、監査可能性を提供する。

ガートナー(Gartner)は、2028年までに企業間(B2B)購買の90%がAIエージェントによって仲介され、数兆ドルがこれらのAI取引所を経由して動くようになると予測している。今のうちに企業のシステムスタックを設計しておけば、信頼やガバナンスを損なうことなく、エージェントを大規模に展開できる。

2008年にモバイルを無視した企業は、その後10年を追いつくために費やした。規格がオープンであり、決済レールがすでに稼働しているため、エージェンティック・コマースはさらに速く進むと私は予測している。機会は、迅速に市場投入する者のものになる。

forbes.com 原文

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