ゴールドマン・サックスによる最近のレポートによれば、S&P500構成企業のうち、第2四半期決算説明会でAIによる生産性向上を裏付ける具体的な数字を示したのはわずか11%に過ぎなかった。AIが業績に直接的な影響を及ぼしていると答えられたのはわずか2%だ。生産性向上を示した企業でさえ、「利益成長における差は小さく、統計的に有意ではない」水準にとどまった。
AIが変革をもたらす技術であることに疑いの余地はほとんどないが、財務的なリターンはまだ現れていない。そのため投資家にとっては、AIの誇大宣伝と堅実な長期投資とを見分けることが難しくなっている。
ドットコムバブルは、ここで起きていることを理解する上で参考になる例だ。期間は1994年から2000年までだった。当時は大きな利益を上げる機会が数多くあった。しかし成長の多くは、実態として優れた企業ではない企業によって支えられていた。多くの企業は社名の末尾に.comを付けただけで、収益を上げておらず、バランスシートは脆弱で、過剰なレバレッジを抱えていた。その結果、崩壊した。一方で、セールスフォースやアマゾンになった企業もあった。
言い換えれば、ドットコム時代の熱狂の一部は正当なものであり、重要な企業のいくつかはあの初期の時期に誕生した。だが同時に、実力に見合わない過剰な期待によって恩恵を受けた非常に脆弱な企業も存在し、それがバブルを生み出した。それでも今日、インターネットへの初期投資に価値がなかったなどと言う人はいないだろう。インターネットは世界を変えた。AIについても無視することはできない。
今日AIツールや技術、インフラを構築している企業の一部は、これから数十年にわたって世界の変革を後押しし、優れた長期投資先となるだろう。同様に、いま現在AIを導入している既存の企業のうち、正しく活用できたものは大きな生産性向上と利益成長を実現し、それらもまた優れた長期投資先となるはずだ。私たちがまだそれを目にしていないのは、大きな成果というものは新技術の導入から常に遅れてやって来るからである。データセンターや発電所はまだ建設中であり、技術そのものも猛烈なスピードで進化している。今日目にしているものは、2〜3年後のAIの姿とはまず異なるだろう。
大きな成功を収める企業がある一方で、AIで完全に失敗する企業や、詐欺まがいの人物、経営の失敗もまた出てくるだろう。
では、投資家はどこに資金を投じればよいのか
実はきわめてシンプルだ。企業の経営陣と全体的な実績を見ればよい。経営陣を信頼できるか。過去に変化をうまく乗り切ってきたか。掲げる目標とその達成手段は合理的か。バランスシートは健全か。
これらすべてが肯定的であれば、恐らく良い投資対象だろう。危険信号が見えるなら、生き残れないかもしれない。これらはあらゆる投資について問われるべき基本的な問いであり、AIが要素として絡んでいるからといって、ファンダメンタルズが変わるわけではない。
AIはこの2年間、議論の中心を占め、市場に非常に大きな上昇をもたらしてきた。その大半はマグニフィセント・セブンによるものだ。これらの企業は、史上最も偉大な企業、そして投資対象の一角となる道を進んでいる。
成功する企業もあれば、そうでない企業もあるという事実は珍しいことではない。自動車が最初に発明された時、米国には文字どおり何百社もの自動車メーカーがあった。現在、成功したのはごく少数である。これは革新的な新産業に典型的なパターンだ。AI時代にも勝者と敗者が生まれるが、ファンダメンタルズは常に重要であり続ける。



