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2026.09.18 17:11

データとAIが世界に食料・エネルギー・衣料を持続可能に届ける

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ジョン・ディア氏は、シンプルながら大きな影響を持つ発明で革命を起こした。190年前(1837年)、農家の生産性向上に貢献した重要な農業イノベーションである、土が付着しにくい鋤(すき)を設計したのである。それ以来、同社は農業機械・建設分野で約2世紀にわたりイノベーションを続けてきた。その大きな柱は、データ(農家は膨大なデータを保有している)、精密農業、自律化、フィジカルAIソリューションを活用し、播種や灌漑から害虫防除、収穫に至るまでの複雑な農業機械を生み出すことにある。

ディアは、アイオワ州立大学と連携し、学術研究を実務に統合してきた35年の歴史を持つ。同社は最近、アイオワ州エイムズにあるアイオワ州立大学キャンパスでTech Dayを開催し、農業科学、精密農業、AI、データ分析の活用を通じて、この協業が農業ビジネスにどのような影響を与えているかを議論した。重要な発表はJD.Comのローンチで、これは過去の圃場(ほじょう)データや機械データを分析し、そこから学習する人工知能(AI)エージェントである。個々の農家が自らの地域や作物種に応じて提供する圃場別・作物別データに基づき、このエージェントは過去の燃料や肥料の使用量、機械の性能、次の作付けシーズンに向けた助言といった質問に答えることができる。


ジョン・ディアとアイオワ州立大学、独自の協業

Tech Dayは9月1日、アイオワ州エイムズのAg Innovation Laboratoryで開催された。アイオワ州立大学が掲げる理念は「Science with Practice(実践を伴う科学)」であり、ジョン・ディアのような産業界との深い協業を求めるものだ。この提携は、知的財産(IP)の開発と利用のあり方において独自性がある。ディアは初期資金を提供する見返りとして、このIPを農業製品に利用する独占ライセンスを得る。このモデルは独自性が高く、医療や工学の他分野で産学連携をどのように構築できるかを示す事例となっている。

ディアのCTOであるジャミー・ヒンドマン氏と、Ag Innovation Laboratoryディレクターでアイオワ州立大学の寄付講座教授であるマット・ダー氏が、最近の協業における4つ主要分野を取り上げたプレゼンテーションでイベントの幕を開けた。

  1. BoomTrac™:ガントリー(門型フレーム)に搭載された噴霧器のブームを、散布範囲と高さの両面で最適な位置に保つ。ExactApply™ Multi-Rateは、1回の走行で11のブームセクションすべてに複数の散布量を適用し、圃場条件に合わせた精密なパルス制御によって、養分や農薬に応じた最適な散布量を適切な区域に投入し、あらゆる投入資材の効果を最大化する。圃場データマップ(状態、雑草、作物、過去の収量)を分析して可変散布量を提示し、資材を最大80%節約し、高収量区域での農薬散布を削減する。AutoPath™(Rows)やAutoTrac™ Vision 2.0などの他の技術要素は、噴霧器の経路を計画し、高速走行時にも畝の中央を維持することで、畝の損傷と収量損失を減らす(図1)。最近の報告によると、農家のほぼ50%が毎年、農薬による健康被害を受けている。精密技術の活用は作業者の安全性を高め、持続可能性と環境面でのメリットを生み出す。
  2. Harvest SettingsとPredictive Ground Speed Automation:農家はダッシュボードアプリケーションを使い、収穫時の穀粒損失、異物混入率、破砕粒の量といった製品品質の変数を指定できる。収穫用コンバインは、ファンやモーターの速度、脱穀部、ふるい、チャファーのクリアランスなどの機械パラメーターを内部で調整し、ユーザーが定義したパラメーターを最適化する。Predictive Ground Speed Automationは、衛星画像とリアルタイムのカメラデータを用いて、コンバイン前方の作物や雑草のバイオマスとばらつきを予測し、最適な速度と収量を可能にする。
  3. ExactEmerge™:播種は農業のプロセスにおいて極めて重要な要素である。最大限の収量を得るためには、種子を2週間の期間内に、最適な深さ、正確な間隔、適切な周囲の土壌質で植え付ける必要がある。ディアのExactEmergeプランター(図2上)は、最大36台の播種機を組み込み、圃場を走行しながら精密な溝を作り、種子を植え、各地点で適量の肥料、農薬、水を供給する。旧来技術の機械式プランターは、車両の力学的制約と植え付け速度の制約により時速3マイル(約4.8km/h)で移動していた。ExactEmergeは電動駆動を組み込み、これとFurrowVision™の組み合わせにより速度は3倍の時速10マイル(約16km/h)となり、短い作付け期間における生産性を高める。その他のメリットとして、肥料、農薬、水といった過剰な資源の排除があり、コスト面と持続可能性面での利点を伴う。
  4. FurrowVision™:ホイールベースに取り付けられたセンサー(図2下)で、カメラとグリーンレーザーイメージャーを組み合わせ、溝の深さを継続的に測定する。種子の配置と溝の状態をほぼリアルタイムで監視し、運転席(キャビン)内のディスプレイにライブフィードとして表示する。オペレーターはそれに基づいて、加えられるダウンフォース(接地圧)を調整できる。ダウンフォースを通じて溝の深さを制御することは重要である。高すぎても低すぎても収量が大きく低下し得るためだ。目標深度は、長年のデータと経験から得られた知見に基づいている。

AIとデータ、農家の業務最適化を支援

ジョン・ディアは本質的には機械メーカーであり、農家が何を必要とし、そのニーズをどのように支援すべきかを深く理解している。複雑な電気機械技術と材料技術を統合し、農家が作物を耕し、播種し、施肥し、守り、収穫するために必要なツールを、信頼性高く、経済的かつ持続可能な形で提供している。その究極の例が収穫用コンバインであり、トウモロコシのような穀物を収穫し、脱穀し、洗浄し、ホッパーを通じて荷積み用トラックへ分離して、最終顧客へ直ちに出荷できるようにする、いわば自律型の車輪付き工場である。LED照明、GPS接続、カメラセンサーにより、24時間365日の運用が可能になる。収穫サイクルが約2週間である場合、これは極めて重要だ。Harvest SettingsとPredictive Ground Speed Automationのような精密技術は、X9の運用に統合できる。BoomTrac™、ExactEmerge™、そしてFurrowVision™は、播種や散布といった収穫前の作業に統合されている。

AIツールはあらゆる領域で台頭している。ジョン・ディアの強みは、複雑な物理機械と精密農業技術を統合し、長年のデータから得た学習に支えられながら、気候の変動、労働力の確保、市場の力学に直面する農家が毎年の業務を真に最適化できるよう支援する能力にある。

ジョン・ディアはすでに、農家が長年の業務データを構造化された形式でデジタル保存できるOperations Center™技術を提供している。これはオンラインの農場管理システムであり、ウェブ、タブレット、スマートフォンを通じて、いつでもどこでも農場情報にアクセスできる。農家はこれを確認し、現在および将来の作業に関する意思決定を行い、あらゆる走行を最適化することで、コストを削減し、収益性と作業者の安全性を高められる(図4)。

表示インターフェースに加え、StarFire™ Receiver(圃場上の機械の正確な位置を追跡)やJDLink™ Modem(機械とOperations Center™の接続を維持)といった他のハードウェアや接続技術により、農家はリモートでも運転席内でも、ほぼリアルタイムで作業の全体像を把握できる。現在、Operations Center™は、農業機械の接続が規制上認められている100カ国で、すべての農家(ジョン・ディアの顧客であるかどうかを問わない)が利用できる。驚くべきことに、これは無料サービスである。

JDはOperations Center™の次なる進化形である。このAIエージェントは、Operations Center™に蓄積された個々の農家のデータから学習する。言語データにはLLM(大規模言語モデル)を、定量データにはニューラルネットワークを組み合わせて用い、農家が長年の圃場、機械、作業データを実践的な業務上の洞察へと変換できるよう支援する。

データセキュリティ、所有権、プライバシーは重要な考慮事項である。個々の農家のデータは保護され、その農家のためだけに使用される。Farmer Data Commitment計画が導入されており、以下の基本原則を掲げている。

  1. あなたは自分の農場データを管理できる。
  2. ジョン・ディアはあなたの農場データを販売しない。
  3. ジョン・ディアは、契約および方針に記載された範囲でのみあなたの農場データを使用し、変更が発効する前に明確に伝える。
  4. ジョン・ディアは、ディーラーおよび接続されたパートナーに対し、透明性のあるデータ慣行を維持することを求める。
  5. ジョン・ディアは、機械性能の向上と意思決定の洞察を通じて測定可能な価値をあなたに提供するため、あなたの農場データおよび集約・匿名化されたデータを使用する。
  6. あなたは、自分の農場データを共有する第三者と共有しない第三者を選択できる。
  7. あなたはいつでも、自分の農場データの第三者への流れを停止できる。
  8. ジョン・ディアは、あなたの農場データを農産物取引や投機に使用しない。
  9. あなたは自分の農場データから明確な価値を得るべきである。
  10. ジョン・ディアは今後も農家の声に耳を傾け、データ慣行を強化し、あなたが農場データから価値を得るのに役立つ新たなソリューションを開発し続ける。

当初、JDは一部市場の一部顧客向けに展開される予定だ。最終的には、Operations Center™の機能をサポートするすべての市場で提供する計画である。現時点の計画では、顧客・非顧客を問わず料金は請求しない方針で、顧客にとって定着性の高いエコシステムにし、新規顧客転換に向けた魅力的な機能にする狙いがある。AIエージェントは顧客ごとに個別に訓練する必要があるため、クラウドとコンピューティングインフラへの投資は高額になり得るが、ジョン・ディアは信頼を獲得し、既存顧客を維持し、新規顧客を引きつけるために、その投資を行う用意がある。


ジョン・ディアは、建設、造園、農業、林業向けの複雑な電気機械装置を設計・製造してきたイノベーションの伝統を持つ。同社はこれらの分野におけるデータとAIのイノベーターへと自らを変革しつつあり、物理的な機械と精密技術、データ、AIベースの学習を統合することで、農家が拡大する世界に食料、衣料、エネルギーを持続可能に、効率的に、そして安全に届けるのを支援している。

forbes.com 原文

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