昇進させるべきか、否か。それがしばしば問題となる。
その問いに答えるにあたり、多くの組織は個人として卓越した成果を示した人材をリーダー職に引き上げる。一見すると、これは理にかなっている。しかし、そうした人材の中には、他者を率いる立場になった途端に苦戦する人もいる。
優れた成果が昇進の前提条件であることに変わりはないが、それは通常、リーダーとしての成功を予測する最も信頼できる指標ではないと私は考えている。
リーダーシップはリーダー自身のためではない
これまでのキャリアを通じて、リーダー職で最も成功した人々は、必ずしもその場で最も頭が切れ、最も実績があり、最も技術的に優れた人物ではなかった。むしろ、彼らは周囲の人々の能力を一貫して高めていた。こうした人々は、多くのプロフェッショナルが十分には理解していない真実を理解していた。すなわち、リーダーシップは、自らの影響によって何が可能になるかで測られるということだ。
研修医時代に学ぶ機会に恵まれた、ある指導医のことを私は決して忘れない。彼女は同僚の中で最も学術的に優れ、最も多く論文を発表していた医師ではなかったが、極めて優れた教育者であり、自らの知識を惜しみなく共有し、周囲の誰もが以前より有能になれるようにしていた。
卓越したリーダーシップは、リーダーの関心が自らの成功から、他者の成長と育成へと移るときに始まる。
誤った二者択一
他者を育てることが簡単であれば、誰もが自然にうまくできるはずだ。しかし、リーダーシップ開発をテーマにした書籍、記事、研究がこれほど数多く存在することは、現実がそうではないことを示している。
実際には、個人やチームを育てることは本質的に難しい。とりわけ、リーダーが変革を導き、業績を押し上げ、目標を達成し、リスクを管理し、複雑な問題を解決することを期待されている場合はなおさらだ。こうした状況下で、多くのリーダーは人材への投資と成果の創出のどちらかを選ばなければならないと思い込み始める。
この思い込みは、リーダーシップをめぐる従来の議論の多くによって強められている。一方の陣営は、人間関係、エンゲージメント、従業員体験を重視する。もう一方は、説明責任、生産性、実行を強調する。極めて支援的な環境をつくる一方で、低パフォーマンスに向き合うことをためらうリーダーもいる。逆に、消耗を強いる基準を設け、成果を得ようとして人々をますます強く追い立てるリーダーもいる。多くのリーダーは、この比喩的な平均台の片側からもう片側へと、常に揺れ動いている。
しかし、人と業績は競合する優先事項ではない。健全な組織では、両者は互いに補強し合う。高業績のチームは通常、人に深く投資するリーダーによって築かれる。そしてエンゲージメントの高い人々は、卓越した成果を上げる可能性がはるかに高い。ギャラップの調査では、従業員エンゲージメントが生産性、収益性、定着率を含む、より強い事業成果と一貫して関連していることが示されている。重要なのは、人か業績かを選ぶことではない。両方を、同時に、そして一貫して優先することだ。
リーダーシップの平均台を超えて
平均台という考え方は不要な幻想である。業績と人の間を行き来するのではなく、リーダーは、一見相反するこの2つの力を、変革型リーダーシップへの単一のアプローチとして統合することを学べる。そして、個人、チーム、状況のニーズに応じて、配慮と挑戦の組み合わせを慎重に調整することで、意図的かつ体系的にそれを実践できる。
挑戦を伴わない配慮は、成長のない居心地の良さを生みかねない。配慮を伴わない挑戦は、コミットメントのないプレッシャーを生みかねない。しかし両者がそろえば、成長を促す強力な触媒となる。
真の配慮を一貫して示すリーダーは、他者に率直に挑戦を促すことが容易になり、従業員もリーダーの意図を信頼しているため受け止めやすくなる可能性が高い。同様に、人々に一貫して説明責任を求めるリーダーは、自らの配慮の表明がより信頼に足るものになると感じるかもしれない。従業員が、リーダーは自分たちの成長とウェルビーイングにも同じようにコミットしていると認識するからだ。人間関係と成果の間でトレードオフを強いるのではなく、配慮は挑戦を強め、挑戦は配慮を強める。
この組み合わせを効果的に活用するには、オンボーディング、チームビルディング、承認、逆境の時期など、配慮をより重視すべき場面を見極めることが必要だ。同時に、学びの機会、コーチングの対話、重大な局面など、より大きな挑戦が適切な場面を認識する必要もある。
私が目にしてきた最大の変化は、業績評価、研修プログラム、あるいは鼓舞するスピーチから生まれることはほとんどなかった。それは、他者が成果を見る前に可能性を見抜き、自信が足りないときに支援を差し伸べ、人々が自分では可能だと思っていなかった姿へと成長するよう、絶えず挑戦を促したリーダーから生まれた。
この組み合わせは人を変える。そして人が変わるとき、組織もまた変わる。
教訓
リーダーにとっての教訓は明快だ。専門性を高め続け、卓越性を追求し、成果を生み出し続けること。しかし、本当のリーダーシップは、焦点が自分自身の業績を超えて広がるときに始まるのだと認識すべきである。
業績か人か、説明責任か思いやりか、成果か人間関係かという誤った二者択一をしてはならない。リーダーシップの平均台から完全に降りるべきだ。目標は、これらの優先事項のどれかを選ぶことでは決してない。それらを同時に習熟することにある。周囲の人々を支援する機会を探すこと。同僚が問題を解決するのを助けること。知識を共有すること。励ましを与えること。率直なフィードバックを提供すること。高い基準を維持すること。成長に投資すること。あらゆるやり取りは、相手を以前よりも有能にし、自信を持たせ、より効果的に動けるようにする機会である。
組織が並外れた存在になるのは、一握りのリーダーが自分自身のために卓越した成果を上げるからではない。リーダーたちが協力し、普通の人々が並外れたことを成し遂げられるよう支援するとき、組織は並外れた存在になる。



