ボリス・ジョンソン元英首相の乗った列車が通過したばかりというウクライナの鉄道路線が、ロシアのドローン(無人機)による攻撃を受けた。英国製のドローンがウクライナによるロシア国内攻撃に使用されたとの報道を受けて、ロシアが英国への報復をほのめかしてからわずか数週間後のことだ。この攻撃が、元英首相を標的として暗殺を試みたものだったかどうかは依然わかっていない。
ウクライナ政府当局者によると、ロシア製の最新鋭ドローンはジョンソンの乗っていた列車のすぐ後ろを運行する旅客列車に突っ込んで爆発した。この列車の並びには、米中央情報局(CIA)のデービッド・ペトレイアス元長官が乗った列車も停車しており、同じく空爆の標的だった可能性が指摘されている。
しかし、防衛・外交分野で米国有数のシンクタンク、アトランティック・カウンシルのピーター・ディキンソンは筆者とのインタビューで、特定の誰かが標的となったわけではない可能性を示唆。ロシアの狙いは、ウクライナ首都キーウで開催された安全保障会議に出席したのち、ポーランド経由で帰国の途に就いていた西側諸国トップクラスの政治家や学者らを恐怖に陥れることだけだったのかもしれない、と述べた。
「ボリス・ジョンソンは、その特定の時間帯に、標的となった鉄道路線を使ってウクライナから出国しようとしていた数十人の要人の中の一人だった」。ロシア・ウクライナ紛争に関して第一人者として知られるディキンソンはこのように述べ、攻撃の目的は「誰かを殺害することではなく、ウクライナ訪問中の要人を脅かし、同国を訪れることはもはや安全ではないと思わせるための警告として機能すること」だった可能性があるとの見方を示した。
「これはプーチンのギャング戦術の典型例だ」とディキンソンは続ける。「あからさまな脅しで反対派を威嚇し、暴力行為を通じてメッセージを送ろうとする」。英国出身でウクライナ在住歴10年のディキンソンはロシアのウクライナ電撃侵攻以来、アトランティック・カウンシル傘下のブログメディア「ウクライナ・アラート」の編集者として戦争を記録し続けている。
ただ、ウクライナ国営鉄道が発表した公式声明からは、ウクライナとポーランドの首都を結ぶ鉄道線路に対する空爆が、まさに間一髪だったことがつぶさに見てとれる。
「国境で機関車が攻撃を受ける直前に、ヤホディン駅には外交列車が停車していた。車内には欧州連合(EU)加盟数カ国の安全保障顧問や欧州の元指導者たちがおり、その中にボリス・ジョンソン元英首相もいた。攻撃が発生したまさにその瞬間、ヤホディン駅に停車していた別の列車にはデービッド・ペトレイアス元CIA長官が乗っていた」



