クリエイティビティとブランド構築における世界的な指標として広く認識されている年次イベント、カンヌライオンズ。今年はその会場の空気に紛れもない変化があった。500人を超えるクリエイターが参加し、その多くが、かつてこの場を主導していた経営幹部やCMOと並んでメインステージに立った。そして、メディアバイイングやアルゴリズムによるリーチといったテーマではなく、多くの実りある議論の中心を占めたのはブランドへの信頼だった。
今日ブランドが直面している課題は、もはや単に人々にリーチすることではない。信頼できると感じられる形でリーチすることなのだ。私たちは「信頼経済」の時代に突入しており、その影響はブランド構築や消費者との関わり方に大きな示唆を与えている。
もはや単なるメディアパートナーではない、クリエイターへの信頼が新たな通貨に
かつての手法は単純明快だった。大勢のフォロワーを抱える人物を探し出し、報酬を払って製品を紹介してもらい、そのインプレッションを測定する。このモデルは変わりつつある。「インフルエンサー」はブランドがメッセージを届けることを助けてきた。今日のクリエイターは、ブランドがメッセージを形づくることを助けている。そして彼らが形づくっているものの一部が、ブランドへの信頼——それがいかに勝ち取られ、形づくられ、維持されるか——なのだ。
その証拠はカンヌのいたるところにあった。オプラ・ウィンフリーはライオンハート賞を受賞し、影響力は規模ではなく意図によって築かれるものだと会場に語った。一方、ジェイ・シェティは登壇時に一貫性を強調し、定期的に発信し続けることによって自己啓発分野で最も信頼される声の1人になれたのだと述べた。メディアの大御所もクリエイターも、同じ結論にたどり着いたのだ。今日のアテンションエコノミーにおいて、信頼こそが最も複利的に積み上がる通貨である、と。
ブランド側もこの変化を捉え始めている。最も競争力のある組織は、もはや「誰が最大のオーディエンスを持っているか」ではなく、「誰が最も大きな信頼を勝ち得ているか」を問うようになっている。これは私の会社でも見られる変化だ。かつては、有名人の顔ぶれが時代のトレンドセッターだったため、私たちは著名人とだけ提携していた。だが、当社の調査、そしてより広範なデータが裏づけているのは、若い消費者は自分が共感できる人物により影響を受けるという事実だ。ブランドが適切なクリエイター・パートナーを選ぶ際に本当に買っているのは、信頼性(クレディビリティ)なのである。
ブランドはクリエイターとともにいかに信頼を築くのか
クリエイターとともにブランドへの信頼を築くには、こうした関係性を捉え直し、より取引的でなく、より意図的なものへと形づくることが求められる。当社は、コミュニティのエンパワーメント、アクセシビリティ、そしてポジティブな文化的インパクトへのコミットメントと使命が合致するコラボレーターとのみ提携している。この「価値観優先」のアプローチによって、すべてのパートナーシップが単発の宣伝機会にとどまるのではなく、ブランドの包括的なパーパスを強化するものになる。
また、コントロールを手放すことも必要である。クリエイターや顧客が本当にブランドを愛しているからこそ自ら選んでパートナーシップに参加してくれる時、そこから生まれるコンテンツやエンゲージメントは、私たちが仕掛けるどんなものよりもはるかに本物で、影響力があるということに気づいた。例えば私たちは、クリエイターを単に製品を宣伝するためではなく、ストーリーテリングを共に形づくり、文化への理解を深め、これから向かう方向性についての視点を提供してもらうために、会話の輪に招き入れている。共創とは本質的に、オーディエンスを受け手として扱うのではなく——彼らに向かって上から目線でマーケティングするのではなく——実際に彼らとともに築いていくことなのである。
ブランドへの信頼は「実践」である
カンヌから得た教訓を1つ挙げるとすれば、ブランドへの信頼とは実践であり、意図的で一貫した取り組みを通じて築かれるものだということだ。派手なキャンペーンや、1人の有名クリエイターとの提携で買えるものではない。今後、消費者の信頼を得続けるブランドとは、クリエイターを単なるメディアバイイングの対象としてではなく、真のコラボレーターとして扱い、共有する価値観に基づいて彼らを選び、真の創造的自由を与えるブランドである。これを正しく実践するブランドは、コミュニティを築き、その人々が何度も戻ってくるような信頼を構築していくのだ。



