超党派の政府機関である米会計検査院(GAO)が米国時間9月17日に発表した調査によると、米国人は料理、掃除、育児といった無償の家事労働に毎日平均4時間を費やしている。これらは統計には表れない巨大な経済価値を生み出しており、その価値は2024年時点で少なくとも5兆6000億ドル(約896兆円)に上る。そして、その労働の大半を女性が担っている。
GAOは「無償の家事労働」を、料理、掃除、子どもの世話、高齢者の介護など、対価を払って他人に頼むこともできるが、代わりに家族が担っている作業と定義している。
過去に実施された『American Time Use Survey(米国生活時間調査)』によると、米国人の大多数にあたる約87.3%が何らかの家事を担っている(1日あたり約3.72時間)。
今回のGAOの調査はこの労働の価値を1日あたり約70ドル(約1万1200円)と見積り、これが国全体にもたらす経済的価値は5兆6000億ドル(約896兆円)から6兆ドル(約960兆円)の範囲だと推定した。これは2024年における米国のGDPの約20%に相当する規模だ。
この労働を担うのは女性である傾向が強い。同調査によれば、米国の人口に占める女性の割合は51%であるにもかかわらず、家事労働の約53.9%を女性が、残りの46.1%を男性が担っていることが分かった。
調査によると、家事労働が生み出す経済的価値の大半を占めているのは日常的な家事だった。これには、料理、掃除、庭の手入れ、ペットの世話、洗濯といった作業に加え、食料品の買い物、銀行の用事、営業や修理業者への電話、そしてこれらの作業に関連する移動などが含まれる。GAOの推計によると、これらの日常的な家事の価値は2024年時点で約4兆3000億ドル(約688兆円)から4兆4000億ドル(約704兆円)に上り、GDPの約15%を占めた。一方、育児や介護が占める割合はそれよりも小さく、GAOの推計では約1兆1000億ドル(約176兆円)から1兆4000億ドル(約224兆円)となっている。
GDPは、一国で生産された財やサービスの全体的な尺度であり、経済成長を測る主要な指標の1つだ。GAOは、無償の家事労働をGDPと併せて検証することで、エコノミストは「GDP単独で見る場合よりも包括的な経済の姿」を把握でき、経済の成長や後退をより深く理解できるようになると指摘している。過去にもこうした種類の労働を定量化しようとする試みはあった。2024年にベイケ・バイオテクノロジーが実施した調査では、サンフランシスコ、ニューヨーク、ロサンゼルス、ワシントンD.C.など米国の主要都市における家事の経済的価値が月額4000ドル(約64万円)から5200ドル(約83万2000円)に上ることが明らかになっている。



