ヒンジ(Hinge)は、「世界を今より孤独の少ない場所にする」ことを使命に掲げている。デートアプリとしては大げさにも聞こえ、テック系スタートアップの提案資料や企業グッズに載っていそうな標語にも見える。だが、ヒンジを運営する人々と1時間話せば、その使命を宣伝文句ではなく、会社全体の判断を方向づける原則として扱っていることが分かる。ヒンジは、真剣な交際を支えることを本気で事業の中心に据えている。
我々は、ヒンジCEOのジャッキー・ジャントスと、同社の最高マーケティング・コミュニケーション責任者タミカ・ヤングをポッドキャスト「FROM THE CULTURE」に招いた。そこで聞いたのは、人同士のやり取りがその場限りの目的を果たすものになりがちな世界で、ヒンジが意味のある人間関係をどう生み出そうとしているのかだ。
経営陣の協働関係を製品・データ・社員にも反映する
ジャントスとヤングが共に働くのはヒンジが2社目で、2人は10年以上前にスポティファイ(Spotify)で出会った。スポティファイでは、各利用者がその年に聴いた音楽を振り返る年末恒例企画「Spotifyまとめ(Wrapped)」の企画づくりに携わった。時を経て、2人はヒンジで再び共に働く道を選んだ。対談では、互いに対する強い敬意と評価が伝わってきた。
ヒンジは、経営陣が率直に意見を交わして協力する姿勢を、アプリを使う人との接し方や、預かったデータの扱いにも反映している。開発に携わる社員同士の関係づくりにも、同じ考え方を当てはめている。利用者が目にするアプリのあり方と、社内で実践する考え方が切り離されていないということだ。
応募者の経歴・技能・企業文化との相性を3回の面談で確認する
利用者に見える製品と、それを作る組織内部のあり方が一致している状態を、化粧品会社エルフ ビューティ(e.l.f. Beauty)のブランド部門プレジデント、コリー・マルキソットは「zero distance」と表現する。ヒンジでは、この考え方が採用にも表れている。
ヒンジは採用で3回の面談を設け、それぞれ異なる観点を確認する。1回目では応募者自身の経歴や考え方、2回目では職務に必要な技能、3回目では企業文化との相性を見る。これにより、「どんな人物か」「何をもたらせるか」「会社の使命に合うか」をそれぞれ重視していることを明確にしている。
CEOのジャントスによれば、最初の2回を問題なく通過しても、3回目でヒンジが使命を非常に強く重視する会社だと気づき、自ら選考を辞退する応募者もいる。入社する人や働き続ける人は、職務だけでなく、組織が重視する考え方にも合っている。職務と組織の両方に合う人が集まることで、働く人と会社の使命との結び付きも強くなる。



