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2026.09.20 17:00

「削除されるために作られた」デートアプリ、ヒンジが築く関係重視の企業文化

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ヒンジは、利用者を製品づくりの協働相手として扱う

人と人との関係を重視する考え方は、採用や社内文化だけでなく、アプリを使う人との接し方にも表れている。「Match Note」は、ヒンジでマッチした相手と会話を始める前に、利用者が個人的な事情や交際で譲れない条件などを伝える非公開メッセージ機能だ。主にトランスジェンダーの利用者を支える目的で作られた。

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トランスジェンダーの利用者からは、特定の情報を事前に伝えることが精神的な負担になり、場合によっては安全上の危険もあるという声が寄せられていた。ヒンジは問題をより深く理解するため、非営利コミュニティーTransTech Socialと連携した。TransTech Socialは、トランスジェンダーを中心とするLGBTQ+の就労や学習を支援している。機能を設計する前から、当事者コミュニティーに検討過程へ参加してもらった。

「消費者のために」ではなく、「コミュニティーと共に」作るという考え方だ。ヒンジは、利用者を単なるマーケティングの対象ではなく、製品づくりを共に進める相手として扱う。CEOのジャントスが語るように、会社が何を重視しているかは、実際に作る製品に表れる。Match Noteは、ヒンジが関係づくりをどれほど真剣に考えているかを具体的に示す機能だ。

トランスジェンダー向けに作った機能が、他の人にも役立つ

人と人との関係は、その場限りの目的を果たすやり取りとは異なり、当初の目的を超える価値を生むことがある。トランスジェンダー向けに作ったMatch Noteは、他の人にも役立った。週末しかデートできないひとり親、断酒を始めたばかりの人、長い交際を終えたばかりで次の関係をゆっくり進めたい人などである。当事者との協働を重視した設計は、当初想定した対象を超えて、より多くの人を支える仕組みにつながる。

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公共政策の分野では、特定の集団向けの設計が社会全体にも利益を広げる現象を「カーブカット効果(curb-cut effect)」と呼ぶ。弱い立場に置かれた人々のための機能や制度が、当初の対象を超えて幅広い人々に役立つ現象だ。車いす利用者のために歩道の縁石を切り下げて設けた傾斜路が、ベビーカーを押す親や荷物を運ぶ旅行者にも役立つのが典型例だ。

Match Noteも、特定の人が抱える問題に応える設計が、より幅広い人に役立つ例といえる。共感を起点に製品を設計するには、人を収益につながるデータ点としてではなく、知見をもたらす協力者として扱う必要がある。

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