──創業から17年目を迎えられますが、経営者として金谷社長ご自身の変化や、意思決定の軸についてお聞かせください。
金谷: 昔と比べると、経営者としてかなり冷静になったと思います。学生時代はプロ選手を目指してサッカーに打ち込んでいました。ポジションはフォワードで、性格もリスクを取るようなタイプでした。起業してからも、創業当初は直感や、得意としていた営業力で事業を推進していくスタイルでした。優秀な人=営業ができる人という考え方もありましたね。
しかし、直感や勢いで動くと、誤った方向に進んだ際に軌道修正するのにも時間がかかります。何度かそういった経験をするなかで、感覚だけでなく、論理的思考を取り入れた意思決定が重要だと考えるようになりました。2020年に入ってもらったCOOの小林は、まさに論理的思考を持った人物。彼をはじめとしたメンバーの意見を聞き、「攻め方」を意識するようになりました。
──守りの面で取り組んでいることは?
金谷:今、akippaの最優先事項として社内に伝えているのは、「安心安全の追求」です。COOの小林、プロダクト開発、営業、カスタマーサポートの各トップを招集し、リスクコンプライアンス委員会の中に「Trust & Safetyプロジェクト」というものを立ち上げました。隔週で、各部門の課題を共有し、ドライバーが車を止めに行った時のトラブルや困りごとをゼロに近づけていくことなどを議論しています。ほかにも、オーナーモードで新たに掲載された駐車場も、翌日にはサービス画面上で不備がないかをチェックしています。
創業初期のメンバーは、私のことを攻めの人だと思っていたので、ずいぶん変わったなという印象を持っているかもしれません。
──反対に、一貫してきた考えや姿勢は何でしょうか。
金谷: 会社としてやると決めたことを「どんな状況でも諦めない」という姿勢です。創業した当初は、資金難のため出張先でもサウナに宿泊するしかなかったり、2020年に黒字化直前でコロナ禍に見舞われ、売り上げが約4割落ち込んだり、いくつも辛い経験をしました。それでも、心が折れたり、眠れなかったりしたことは一度もありません。それは、オンオフの切り替えがすごく得意だからです。サッカーを観に行ったり、ももいろクローバーZのライブに行くと、すぐに気持ちを切り替えられ、火事場であっても「自分の出番がきた」というマインドになります。
──最後に、株主還元方針について教えてください。
金谷:成長過程にあるので、まずは内部留保を増やし、M&Aなどに成長資金を使っていくことが、株主さんへの利益還元になると考えています。配当は将来的に実施していきたいですし、ファンになってもらえるような方に向けた優待も検討しています。


