北米

2026.09.18 08:30

トランプ米大統領、高関税で欧州をけん制 カナダのEU準加盟巡り

米国のドナルド・トランプ大統領。2026年9月12日撮影(Artur Widak/NurPhoto via Getty Images)

米国のドナルド・トランプ大統領。2026年9月12日撮影(Artur Widak/NurPhoto via Getty Images)

ドナルド・トランプ米大統領は16日、欧州連合(EU)がカナダを初の「準加盟国」として受け入れると提案したことを受け、同連合からの輸入品に高関税を課すか、多くの品目の取引を停止するとけん制した。米国とカナダは関税を巡って対立している。

米ノースカロライナ州で記者団の取材に応じたトランプ大統領は、EUとカナダが進める統合への動きを「笑止千万」と一蹴した。同大統領はカナダを「ひどい貿易相手国」と評し、同国とEUの統合が実現することはないだろうとの見方を示した。

トランプ大統領は、この動きを敵対行為と見なせば、「極めて厳しい関税を課すか、多くの品目について欧州との貿易を停止する」可能性もあると警告。カナダのEUへの準加盟が「善意」に基づくものであれば容認する余地はあるものの、そうでなければ「高関税」を課すとした。他方で、同大統領は、欧州に対して具体的にどのような関税や貿易制限を課すのかに関しては触れず、EUとカナダの行動が「敵対的」であるかを正確にどう判断するのかについても説明しなかった。

EUの執行機関である欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は同日、仏ストラスブールの欧州議会で施政方針演説を行い、カナダをEU初の準加盟国として受け入れるための「道を開く」と表明した。同委員長はこの会合に出席していたカナダのマーク・カーニー首相に対し、統合に向けた協力を直接呼びかけた。

両者の協力関係の具体像について、フォンデアライエン委員長は、製造業での協力や「技術同盟」の構築、防衛産業基盤の統合、人工知能(AI)の推進のほか、北極圏を「旗艦となる共同プロジェクト」とすることなどを挙げた。その上で、AI、気候変動、防衛、ウクライナ侵攻といった問題について、EUとカナダは目標を共有しており、何よりも「民主主義を信奉している」と強調した。

演説の中で、同委員長はトランプ大統領や米政府による貿易摩擦や同盟国との対立について明確に言及することは避けた。他方で、同委員長は、スイス・ダボスで1月に開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でカーニー首相が行った演説に同調し、協力こそが「規則に基づく国際体制の亀裂」に対応する手段だと指摘。「これは他者を敵視するものではなく、私たちの共通の力を高めるための協力だ。要するに、私たちはカナダとの関係を可能な限り高い水準に引き上げたいと考えている」と説明した。

カーニー首相はX(旧ツイッター)への投稿で、「EUは欧州全域に大きな安定と市民の移動の自由をもたらし、欧州に世界規模の経済的影響力を与える単一市場を築き上げた」と称賛した。カナダ首相府はフォンデアライエン委員長との会談の概要を公表した。その中で、カーニー首相は同委員長が提案した「カナダとEUが既存の自由貿易協定を超え、将来的に『はるかに強力で野心的な同盟』へと発展させる」構想を歓迎したことを明らかにした。カナダ側の声明では、同国がEUの準加盟国となるかどうかについては明言されなかったが、「分断が進む危険な世界で、両首脳は、カナダと欧州があらゆる領域にわたる緊密な協力を通じて、戦略的自律性を確保すべきことを確認した」とされている。

EUとカナダの関係強化に向けた動きは、トランプ大統領が同国からの主要輸入品目に50%の関税を課したことをきっかけに、急速に進展している。これに対しカナダは、鉄鋼、乳製品、家電製品、農業機械、パルプ・紙、特定の電子機器を含む約700品目の米国製品に15~50%の報復関税を課すことで応酬した。これを受け、トランプ政権は一部の乳製品やアルコール類、オートバイなど、特定のカナダ製品の輸入を禁止する措置を講じた。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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