食&酒

2026.09.18 16:15

【独占】100万人待ちのレストラン「アルケミスト」、5カ月の休業の真意

1月に開催されたイベント「コンバージェンス」にて(アルケミスト提供)

──レストランを5カ月間閉鎖する間、経営面・経済面での担保はどのように行うのですか?

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大きな変更点は「料金体系の見直し」です。これまでは料理のみを予約し、ドリンクは注文しない、あるいは1杯だけ飲むという選択も可能でした。現在、約35%のお客様がドリンクペアリングを選択していません。次のシーズンからは、すべてを含んだオールインクルーシブのパッケージ予約制に移行します。

──ペアリング料金はいくらになるのでしょうか?

ドリンクパッケージは3000デンマーク・クローネ(約7万2000円)です。これにはウェルカムシャンパン、コーヒー、紅茶、そしてドリンクペアリング(アルコール、ノンアルコール、または両方の組み合わせ)がすべて含まれます。

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現在の料理代金5600DKK(約13万5000円)に、この3000DKKからのドリンクパッケージが必須となる体系に変えることで生まれる収益が、5カ月間の休業に伴うコストをカバーします。これが休業を可能にする重要な経済的な裏付けです。

──この構想はいつから練っていたのですか?

今年の5月から予算の検討を始めました。「5カ月で何を達成し、何を変えるのか」を議論してきましたが、約100人のスタッフを雇ったまま毎年5カ月間店を閉めるという例は世界中を探しても見当たりません。私にとっても初めての試みですので、実践しながら学んでいくことになります。もし5カ月が長すぎると分かれば来年は4カ月にするかもしれません。ただ、皿やドームの映像コンテンツなどを一から制作するには相当な期間を要するため、現時点では5カ月が必要だと試算しています。

──多くの有名シェフは、自身が旅に出ている間も店をチームに任せて営業を続けます。なぜその選択をしないのですか?

同僚からも「3週間ほどインドに旅行して、その間はチームに任せればいい」と言われます。彼らは非常に優秀ですので十分対応できるでしょう。しかし、それは私にとって「妥協」なのです。

料理も、空間体験も、その背景にある社会的メッセージも、すべて私にとって極めてパーソナルなものです。だからこそ、自分自身がその場にいて体験を“指揮”することが重要だと考えています。

オーケストラに指揮者がいるのと同じで、その場には特有のエネルギーや緊張感が存在します。たとえば昨日も、洗礼という人生の節目の記念として来店してくれた若い男の子がいました。私はその場で「彼にナイフとTシャツとピンセットをプレゼントしよう。そして特別なドリンクを一杯振る舞おう」と判断しました。こうしたサービスの一瞬一瞬はマニュアル化できるものではなく、現場でお客様と共に生まれるものです。

だからこそ、私が別の国のソファに座って遠隔で店を回すのではなく、自分が現場に立つこと自体が「アルケミストの体験」の不可欠な要素なのです。

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文・文中写真=仲山今日子

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