サイエンス

2026.09.18 18:00

巨大サメの皮膚に刻まれた「指紋」の謎、10年の追跡でわかった衝撃の生態

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MWSRも、この技法は個体識別に関して「非常に信頼度が高い」としている。「マンタ」と呼ばれるオニイトマキエイやウミガメ、キリンやヒョウなど、特徴的な模様を持つ他の動物でも利用可能だ。

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MWSRはこれまで、900頭以上のジンベエザメを個体識別し、データベースに登録した。その中には、長年にわたって繰り返し写真に収められた個体もあり、作成された詳細なプロフィルによって、移動や成長の履歴、ケガからの回復の過程などが明らかになっている。

「WS178」(愛称は「チョコ」)という個体を例にとろう。チョコは、2011年にミライドゥ島付近のバア環礁で最初に特定されたのち、99回にわたって観察された。直近では、最初に見つかったバア環礁で再び目撃されている。

また、「ラッテヒ」という愛称で呼ばれている別の個体(登録番号は「WS268」)は、ミライドゥ島から300km以上離れたター環礁で最初に特定された。

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最初に目撃された時、その体長は約3mだったが、直近のミライドゥ島付近で観察された際には、約8mにまで成長していた。ラッテヒはこの10年、ター環礁とバア環礁の両方で、繰り返し写真に収められている。

「長年にわたって繰り返し観察されるジンベエザメの写真を撮ることで、年月を経るなかでの成長過程を確認し、体長と年齢の関係を推測するのにも役立つ」とバルチャは解説する。

写真による個体識別では、ケガやその回復過程を記録することもできる。何度も目撃するなかで、傷跡がだんだん薄くなっていくのを研究者が確認したケースもある。

こうした写真からは、ジンベエザメと環境のあいだに働く相互作用も明らかになっている。ジンベエザメは、海水を大量に飲み込み、櫛状の歯でカイアシ類やオキアミといった甲殻類、魚の卵や幼生などの微細な生物を濾し取って食べる食性を持っている。

エサとなるプランクトンが大量に集まる場所には、ジンベエザメも集まってくる。そのため、個体の動きを時系列で追跡すると、季節ごとの移動の実態や、エサ場、海流やプランクトンの大量発生などに関して、さらなる知見を得ることができる。

どうやら、バア環礁および、この環礁にあるハニファル湾は、特に重要なエサ場になっているようだ。この海域では、季節性モンスーン海流がプランクトンの集積を促し、ジンベエザメに加えて多くのマンタも引き寄せている。

しかし、エサをもたらす海域は、ジンベエザメを危険にさらすこともある。「われわれが観測する海域で、ジンベエザメの健康にとって最大の脅威の一つは、モーターボートのプロペラによる負傷だ」と、バルチャは指摘する。同氏によれば、ジンベエザメは海面に近いところでエサを取ることが多いため、ボートと衝突しやすいという。ボートのプロペラによって、背中やひれ、尾に深刻な裂傷が生じるケースもある。

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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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