リーダーシップ

2026.09.17 10:36

AIの進化に組織が追いつけない――経営者が直面する本当の課題

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私の知るCEOは皆、いま同じ問いを何らかの形で発している。「どれだけ速くAIを事業に取り込めるか」。理解できる問いである。しかし、最初に問うべき問いとしては間違っている。より重要なのは、「事業のどれほどの部分が、実際にAIを受け入れる準備ができているのか」だ。

AIは、単に導入すべき新たなテクノロジーではない。組織そのものに対するストレステストである。意思決定が曖昧な場所、ワークフローが肥大化している場所、会議が形式的になっている場所、管理職に過度な負荷がかかっている場所、そして活動そのものが価値と取り違えられている場所を、リーダーに突きつける。

どこへ行っても、私は同じ朗報を耳にする。人々はAIを使っており、作業は速くなっている。文章作成も、分析も、アウトプットも速くなっている。それ自体は重要だ。だが、速さだけでは変革とはいえない。重要な問いは、「仕事の何が実際に変わったのか」「顧客に対してどのような新たな価値を生み出したのか」だと私は考えている。

あまりに多くの組織で、AIはすでに壊れていた仕事の上に重ねられている。存在すべきではないものを、より良い形でつくる手助けをしているのだ。混乱した会議をきれいな要約に変えても、その下にある合意形成の欠如は解決されない。誰も異議を唱える勇気を持てなかったワークフローを、チームがより速く進む助けにはなる。仕事は変革されていない。加速されただけだ。

フェラッツィ・グリーンライトでリサーチ責任者を務めるウェンディ・スミスは先ごろ、組織理論家のリチャード・クレイドン博士と対話した。AIが組織に実際に何をもたらしているのかについて、同博士の研究は私が見てきた中でもとりわけ鋭い。クレイドン博士は、AIは組織が吸収できる速度を上回って進んでいると主張してきた。

クレイドン博士の最も重要な指摘の1つは、AIが一部の人々のいうほど整然と管理業務を取り除いているわけではない、という点である。多くの場合、AIは組織の中ですでに最も見えにくい部分、すなわち統合レイヤーに、さらに多くの仕事を押し込んでいる。クレイドン博士はこれを「サーブ」レイヤーと呼ぶ。戦略を実行につなげ、優先事項を実務に落とし込み、引き継ぎや例外に対応し、曖昧さを解釈し、システムが壊れないよう支える層である。組織図にきれいに表れないため、多くの経営幹部が過小評価している層でもある。

そしていま、まさにそこに負荷が集中している。経営幹部は「AIを使え」と言う。チームはより速くアウトプットを出し始める。だが、それでも誰かが品質を確認しなければならない。誰かが文脈を理解しなければならない。誰かが、そのアウトプットが正しいのか、有用なのか、リスクがあるのか、誤解を招くのかを判断しなければならない。

その「誰か」はたいてい管理職である。AIによって管理職が不要になるという議論の多くが見落としているのは、この管理業務だ。彼らは報告書を見る。しかし、その報告書の背後にある判断は見ていない。資料を見る。しかし、その資料の背後にある意味づけは見ていない。ワークフローを見る。しかし、そのワークフローを部門、地域、顧客、文化を越えて使えるものにするために必要な人間による統合は見ていない。

クレイドン博士はインタビューで、すべての経営幹部が考えるべき点を示した。誰もがより多くの報告書をより速く作成できるようになっても、その品質を判断する能力を誰も持っていないなら、組織は賢くなったのではない。忙しくなっただけである。そこに落とし穴がある。生産コストが下がるほど、判断の価値は高まる。AIは、組織が吸収できる量を超える分析、提言、ダッシュボード、コンテンツを生み出すことができる。

これがクレイドン博士のいう「AI混乱税」である。この表現は別の文脈でも使われてきたが、同博士は、AIがすでに不明確な仕事に加わることで人々が背負う隠れた作業を指して使っている。追加の確認、やり直し、AIが生成した答えが有用なのか、リスクがあるのか、あるいは自信満々に間違っているだけなのかを見極めようとする従業員の負担である。

AIは、慎重に適用されれば、その税を減らすことができる。だが、不明確な仕事の上に重ねれば、根本的な問題を悪化させかねない。だからこそ、AIをめぐる本当の問いは「どこにツールを適用できるか」ではない。「そもそも存在するに値する仕事は何か」なのである。

それはリーダーに次の問いを迫る。このプロセスはなぜ存在するのか。誰がそのアウトプットを使うのか。それはどの意思決定を支えているのか。誰も行動に移さないものを準備するために、人々に何時間も費やさせている場所はどこか。成果物を成果そのものと取り違えている場所はどこか。

報告書やダッシュボードは、本当の意味での成果ではない。成果とは、より良い意思決定かもしれない。次に何をすべきかを理解しているチームかもしれない。行動に移せるほどリスクを明確に把握したリーダーかもしれない。クレイドン博士の洞察は、多くの組織が、AIに改善させようとしている仕事を明確に定義する前にAIを導入している、という点にある。

長年、企業はプロセスを答えとして扱ってきた。プロセスを改善し、機械をより効率的にすれば、業績は向上するはずだ、と。その考えが依然として重要な領域もある。仕事が明確で、反復可能で、測定可能な場所は存在する。そうした場所では、AIは自動化、スピード向上、標準化に役立つ。しかし、管理業務の多くはそのような仕事ではない。

管理業務は、引き継ぎ、例外、競合する優先事項の中に存在する。本社が求めることと現地市場が必要とすることの緊張関係に対処しなければならず、プロセスは一つのことを示しているのに、状況は別の対応を求める瞬間に向き合わなければならない。

クレイドン博士の指摘は、あまりに多くの組織が、意味づけを必要とする環境で、スピードのために作られたツールを使っているということだ。そしてそれはリーダーシップの問題である。優れた管理職は常に、情報を移動させる以上のことをしてきた。人々が複雑さを理解できるよう助ける。システムが壊れる前に矛盾を見抜く。一見正しそうに聞こえても実際には正しくないものを見極める。プロセスに従うべき時と、プロセス自体が問題になった時を知っている。

AIはその仕事をなくさない。実際、クレイドン博士はインタビューで最も力強い可能性の1つを示した。リーダーがその使い方を本当に理解すれば、AIは並外れた意味づけのツールになり得る、ということだ。AIは、チームが複数の視点をより速く検討し、前提を検証し、部門間で翻訳し、矛盾を浮かび上がらせ、人間が意味を見いだすプロセスを加速する助けとなる。

これはAIが管理職を置き換えるという話ではない。拡張知能が管理職を強化するという話である。AIによってチームが5分で報告書を作成できても、誰もその問題をより深く理解していないなら、それは進歩ではない。だが、AIによってチームがその問題を5つの異なる視点から捉え、トレードオフを理解し、意思決定に向けて足並みをそろえ、より大きな信頼のもとで動けるようになるなら、それは進歩である

ただし、それは管理職がこの新しい仕事に向けて育成されている場合に限られる。多くの企業は、AIの周辺にある人間の能力を育てないまま、人々にAIを使うよう求めている。真に必要なのは判断力の訓練であるのに、プロンプト研修を提供している。真に必要なのはより良い意思決定であるのに、利用状況を測定している。

「ヒューマン・イン・ザ・ループ」は、AIにおいて最も使い古された表現の1つになった。だがクレイドン博士は、その下にある問いを投げかける。誰がその人間を育てているのか。ループの中に人間を置くだけでは不十分である。その人間が過負荷で、訓練不足で、説明責任が曖昧で、機械に異議を唱えられないなら意味がない。管理職が何を基準にレビューすべきかを知らないなら、アウトプットを確認すべきだと言うだけでは不十分である。そして、AIを活用した仕事において説明責任が実際にどのようなものかを誰も定義していないなら、説明責任という言葉にほとんど意味はない。

AIは危険な誘惑を生む。摩擦こそが敵だと考えやすくするからだ。しかし、摩擦は常に敵とは限らない。クレイドン博士は「組織からすべての摩擦を取り除けば、その適応能力まで取り除いてしまう可能性がある」と強調した。

優れた管理は、正しい種類の摩擦を生み出す。答えがあまりに簡単すぎる時にはチームの歩みを遅らせる。皆が急いで通り過ぎようとしている前提に疑問を投げかける。プロセスが避けようとした対話を促す。悪い摩擦は取り除くべきだ。だが、生産的な摩擦は守らなければならない。だからこそ管理の未来は、より少ない管理職がより少ない仕事をすることではない。より優れた管理職が、より価値の高い仕事をすることなのである。

すべての企業は、次の3つの問いを繰り返し問うべきだ。

  1. AIはいま、人間よりもうまく何ができるのか。
  2. AIが仕事に組み込まれたことで、人間はいま何をよりうまくできなければならないのか。
  3. そして、どの仕事を完全にやめるべきなのか。

3つ目の問いこそ、ほとんどの組織が避ける問いである。同時に、それは本当の変革と、単なる生産性向上プログラムを分ける問いでもある。AIが同じことをより多く行う手助けをするだけなら、私たちはこの瞬間を逃すことになる。答えはAIの速度を落とすことではない。それはできないし、すべきでもない。答えは、組織が学び、決定し、再設計する能力を加速させることである。

これは、もはや存在するに値しない仕事を手放す許可を人々に与えることを意味する。AIは、古い習慣、神聖視された会議、レガシーな報告書、良い仕事とは何かについての時代遅れの前提に満ちた企業の中に入り込んでいる。リスクは、それらを問い直す前に自動化し、加速してしまうことにある。

クレイドン博士が、AIは組織より速く進んでいると警鐘を鳴らすのは正しい。リーダーにとっての課題は、組織の再設計がその速度に追いつけるようにすることだ。導入はすでに進んでいる。本当の試練は、事業の中に導入しているこのテクノロジーにふさわしいだけの速さで、管理、判断、意味づけを再設計できるかどうかにある。

forbes.com 原文

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