リーダーとして、私は長年にわたり組織をつくり、持続する企業と成長が頭打ちになる企業を分けるものを見てきた。そこで際立つ共通点がある。規模を拡大する企業は、人間関係に意図的に投資する人々によって率いられているということだ。
リモートワークや分散型組織、あるいは急成長中の環境では、人間関係を偶然任せにしがちだ。必要な会議に出席し、業務を進めるために必要な人とだけつながる。いつも同じ顔ぶれに落ち着いてしまう。しかし、成長する企業においては、その「デフォルト」が高くつくことがある。
30年以上の経験から学んだのは、離れた場所にいるだけでは文化は自然に生まれないということだ。予定された時間枠のなかで信頼を築くこともできない。そして最も重要な人間関係は、たいていカレンダーには載っていない。距離を隔ててリードするエグゼクティブが成功するのは、「プレゼンス(存在感)」を偶然に任せるのではなく、意図的に設計しているからだ。
成長する分散型組織のなかでそうしたつながりを築こうとするリーダーにとって、私が有効だと感じている5つの実践がある。
1. 人間関係を偶然に任せない
自分の組織を知りたいのであれば、そのための時間を作らなければならない。会社の本社に出張する際、私は普段の経営陣グループに頼るのではなく、あまり親しくない人たちと一緒にオフサイトミーティングへの往復に同乗するようにしている。一緒に働いたことのないチームの誰かとコーヒーを飲むこともある。これには意識的な努力が必要だが、自分の狭い軌道から抜け出し、自分が率いている本当の組織のなかへ入っていくきっかけになる。
2. ビジネスだけでなく、文化のために顔を出す
私は意図的に、重要な会議や取締役会だけでなく、ボランティア活動の日やチームの祝賀行事、インフォーマルな場に合わせてオフィス訪問を計画している。そうした日には経営幹部が不在であることも多いが、それこそが狙いなのだ。普段なら会うことのない、さまざまな階層の人々と出会う機会が生まれる。そして一言も発することなく、この会社の文化はパフォーマンスと同じくらい大切だというメッセージを発することができる。
3. 個人として相手を知り、その後も気にかける
私はバーチャル会議の冒頭で、相手の人生について心からの質問をする。家族のこと、仕事以外で何をしているのか、何を大切にしているのかなどだ。私のチームの1人は大学のマスコットを務めていたことがあり、その話を聞くことで、その人がどのような人物なのかを実感できた。別のチームメンバーの夫は軍に派遣されていた。尋ねることは大切だったが、彼女がどう過ごしているのかを本当に気にかけることも同じくらい重要だった。知るだけでは十分ではない。私は会議や訪問の後にメモを書く。人々が共有してくれたことについて、後で確認する。誰かが直面している課題に触れたなら、その後の様子を尋ねる。そうやって信頼は築かれる。毎日同じ部屋にいないなら、なおさらである。
4. 組織の外にもネットワークを広げる
現地にいるとき、私は社内チームと会うだけではない。潜在顧客、パートナー、取締役、そして私たちが接点を持とうとしている地域の人々ともコーヒーを飲む。どの会話も、社内であれ社外であれ、会社にとって重要な関係を強化する機会である。
5. 日常を共有し、自分を知ってもらう
プレゼンスは双方向のものだ。私のチームは私がスターバックスのリフレッシャーズが大好きなことを知っている。通話中、彼らは私の手にある鮮やかな紫色のドリンクにしばしば気づく。天気の良い日には裏庭で仕事をすることもあり、そんなときはどこに座っているか、家や犬がどんな様子か、リモートワーク中の私の一日がどんな感じかをチームに見せる。こうした小さなディテールが、あなたを人間らしく見せる。それによって人々は、あなたと同じ場にいる自分を想像できるようになる。リーダーシップが分散している場合、人々は肩書きとしてではなく、一人の人間として本当にあなたを知っている感覚を必要とする。それは、あなたが自分を本当に見せて初めて可能になる。
なぜ今、これが重要なのか
ほとんどのリーダーは、文化が重要だと理解している。しかし、それを実際に行動で示す人は少ない。特に複数の拠点に分散している場合はなおさらだ。
スケールを目指してビジネスを構築するとき、戦略や指標、トップでの意思決定に集中したくなる。それらは確かに大切だ。しかし、優秀な人材を維持し、買収を通じてスケールし、破壊的な変化を分裂することなく乗り越えていくためには、それだけでは足りない。成功している企業は、よく設計されたオペレーティングモデル以上に、人間的な何かの上に築かれている。それは「つながり」だ。
大企業では全員を知ることはできない。しかし、人々があなたを知ることはできる。あなたが階層やチームを越えて意図的に顔を出すとき、何かが変わる。人々は分散型組織の一員というよりも、実在する何かの一部であるように感じ始めるのだ。
これはメモを送るより難しい。電話会議よりコストがかかる。しかし、それこそが会社を「マネジメントする」ことと「リードする」ことの違いなのである。
結論
規模のある組織でプレゼンスを発揮するには、意図とつながりが必要だ。複数拠点にまたがって持続する文化を築くエグゼクティブは、すべての訪問を、会社を結びつける人間関係への投資として扱う。
時間を設計する。文化が実際に息づいている場所に姿を見せる。出席しなくてもよい会議より、まだ知らない相手を選ぶ。トップにいる誰かが人間関係は重要だと決断したとき、企業は人々が本当に働きたいと思う場所になる。
どこにいても、これまでとは違う形で、そして意味のある形で姿を見せることだ。



