マーケティング

2026.09.17 09:47

顧客体験は問題ではない。本当の問題は「顧客離れ」だ

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企業はカスタマーサービスや顧客体験(CX)について議論することに多くの時間を費やしている。満足度スコアを測定し、研修に投資し、カスタマージャーニーマップを作成し、体験を向上させる方法を模索する。

こうした考え方自体に問題はない。上記のすべて(そしてそれ以上のこと)は重要である。だが、もしかすると私たちは、間違った問題に焦点を当てているのかもしれない。では、顧客体験が問題ではないとすれば、何が問題なのか。

問題は「チャーン(顧客離れ)」である。

顧客は去っていく。そしてそうなれば、企業はその穴を埋めるために新たな顧客を見つけなければならない。つまり、より多くのマーケティング、より多くの営業、より多くの販促、そして全体としてより多くの労力が必要になる。ようやく出発点に戻るためだけに、である。そして、こうした取り組みが成功すれば、理想的には失った顧客数を上回る新規顧客を獲得できる。顧客獲得に必要な投資を考えれば、「既存顧客を維持するより新規顧客を獲得するほうがはるかにコストがかかる」とする多くの調査結果には説得力がある。

もちろん、顧客が離れる理由はさまざまだ。引っ越すこともあれば、亡くなることもある。提供している商品やサービスが不要になる場合もあれば、価格など競争上の理由で離れることもある。

しかし、顧客が離れる理由には、企業がコントロールできるものもある。それが体験である。

顧客離れを引き起こす主な要因の1つが、一貫性の欠如だ。

企業は9回すばらしい体験を提供できても、10回目の体験が十分に悪ければ、顧客は「次にこの会社と取引したら、何が起きるのだろうか」と自問するかもしれない。

この瞬間、顧客体験の問題は顧客離れの問題へと変わるのだ。

CXを単なる「体験」として捉えるのをやめる

顧客体験という言葉は、企業との個々の接点に目を向けさせがちだ。従業員は親切だったか。ウェブサイトは使いやすかったか。荷物は時間通りに届いたか。カスタマーサポートは苦情や問題を解決したか。これらはすべて重要である。どの接点でも、顧客の期待を裏切り、悪い印象の種をまく可能性がある。1回の否定的なやり取りだけで顧客が離れるほど深刻な場合もあるが、大半の顧客は一度きりの出来事ではなく、複数の体験に基づいて評価する。顧客は時間をかけて企業に対する評価を形づくる。各接点は、次回も期待通りであるという確信を強めるか、あるいは何を期待できるのかに疑念を生じさせるかのどちらかだ。

だからこそ、顧客体験についてこれまで当然のように問われてきた質問を変える必要がある。「顧客に良い体験を提供できたか」と問うのではなく、「顧客が今後も当社と取引を続けたいと思うような体験を提供できているか」と問うべきだ。

この2つの問いには大きな違いがある。後者は、顧客体験を顧客維持と結びつける。そもそも顧客体験に投資する最も重要な理由の1つが、顧客維持なのである。

一貫性が信頼を生む

あなたがひいきにしている企業を思い浮かべてほしい。おそらく、次回どのような体験になるかがわかっているはずだ。それが一貫性であり、一貫性は体験への信頼につながる。その信頼は、企業やブランドへの確信につながる。

顧客は、すべての体験が驚くほど特別で、期待を大きく超えるものであることを求めているわけではない。必要なのは、予測可能な体験である。前回起きたこと、つまり自分の期待を満たした体験が、次回も起きると知りたいのだ。

逆もまた真である。一貫性の欠如は不確実性を生む。顧客が「今日はどんな体験になるのだろうか」と考え始めた時点で、その関係は悪い方向へ向かい始める。

顧客離れは、顧客が去る前から始まっていることが多い

顧客離れの問題は、それが過去を測る指標であることだ。顧客がいなくなったと気づいた時点で、それはすでに起きている。顧客が離れる決断をした背景にある理由は、最終的に去ることを選ぶより前に始まっている。

問題を解決するために顧客が2回電話しなければならなかったのかもしれない。ある従業員は助けになったが、別の従業員はそうではなかったのかもしれない。何カ月も信頼できていた配送が、突然不安定になったのかもしれない。疑念を生む小さな問題は数多くある。こうしたことが初めて起きたときは大きな問題ではないかもしれない。しかし、いくつか重なるとそれはパターンとなり、最終的に顧客は信頼を失う。

だからこそ、顧客離れを測定するだけでは不十分である。それだけでは理由がわからない。なぜ顧客離れが起きているのかを理解するには、顧客が離れる原因となった体験を見る必要がある。そこに改善のチャンスがある。プロセスの中にある摩擦を見つけて取り除くことは、常に顧客の期待に応える状態へ一歩近づくことになる。

顧客離れを顧客体験の指標にする

企業が売上や収益を測定するのと同じように、多くの企業は顧客離れを測定している。しかし、それを営業やマーケティングの指標として捉えている。顧客離れは、顧客体験の指標でもなければならない。

顧客が体験を理由に離れているのなら、CXチームはその理由を理解する必要がある。そして前述の通り、顧客が離れる前に何が起きたのかを把握しなければならない。体験はどこで崩れたのか。それは一度きりの失敗だったのか、それともパターンの一部だったのか。そして最も重要なのは、その体験が、顧客が期待するようになっていたものと一貫していなかったのか、という点である。

目標は、単に顧客を満足させることではない。顧客が頼りにできる体験をつくることである。再び戻ってくる自信を顧客に与える体験でなければならない。

最後に

私のキャリアの大半において、クライアントが「カスタマーサービス(または顧客体験)に問題がある」と言ってきたら、私は「その解決を手伝いましょう」と答えていただろう。そこから、問題の根本を突き止めるために掘り下げていく。上で述べた多くのことが、その根本にあたる。しかし、よく考えてみると、本当の問題はカスタマーサービスやCXではない。顧客離れである。ただし……。

顧客離れの解決策は、顧客体験である。

この記事で述べた最も重要な点の1つを改めて言うなら、「顧客体験をどう改善するか」と問うのをやめ、「どの体験が顧客を離れさせているのか」と問い始めるべきである。

そして次のステップとして、「私たちはどこで一貫性を欠いているのか」と問う。

それがわかったら、次にこう問うべきだ。「顧客が得るすべての体験を通じて、次回の体験も前回と同じくらい良いものになると顧客に確信させるために、私たちは何をしているのか」

forbes.com 原文

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