今日、役員会議室やオフィスに足を踏み入れれば、注目すべき光景を目にする可能性が高い。現在、4つの異なる世代が肩を並べて働いている。数十年にわたる組織知を持つベテラン社員の隣に、スマートフォンのない世界を知らない新卒社員が座っているのである。
多くの組織では、こうした世代の衝突は負債として捉えられている。文化の衝突、コミュニケーションの断絶、仕事に対する価値観の相違といった不満は絶えず聞かれる。しかし、大規模組織を率いてきた長年の経験を通じて、筆者はこの世代の多様性こそが、実は最も未活用な資産の1つであることに気づいた。
その溝を埋めるには、意図的な取り組みと視点の転換が必要である。リーダーが世代間の違いを組織の強みに変えるための3つの方法を紹介する。
1. 方法の違いよりも、共通の価値観に焦点を当てる
世代間の不満の多くは、動機ではなく方法をめぐる意見の相違に集約される。ベテラン社員は、問題を解決するために電話や対面での会議を好むかもしれない。一方、若手プロフェッショナルは、短いテキストメッセージや共同編集できるデジタル文書をまず使うだろう。リーダーが注意しなければ、コミュニケーションスタイルの違いを、敬意の欠如や関与不足と誤解してしまいがちだ。
この分断を解消するには、チームを共通の価値観につなぎ止める必要がある。あらゆる世代の人が、自分の仕事に意味があることを望んでいる。誠実に業務を行い、卓越した成果を出し、周囲の世界にポジティブな影響を与えたいと考えているのだ。組織の活動の背景にある「なぜ(why)」に強く焦点を当てれば、「どのように(how)」を巡る対立ははるかに少なくなる。コアミッションと完全に一致している限り、チームには最も生産性を高められる方法で業務を遂行する自由を与えるべきである。
2. リバースメンタリングを推進する
従来、メンタリングは年長で経験豊富なリーダーが若手社員に知識を注ぎ込む一方通行の関係として捉えられてきた。このモデルは今も重要だが、活気ある文化を築くには双方向のアプローチも取り入れなければならない。筆者は常にリーダーに対し、意図的なリバースメンタリングの仕組みを整えるよう促している。
ベテランのチームメンバーは、対立の解決、長期戦略、関係構築の知性について、かけがえのない知恵を持っている。一方、若手社員はデジタルイノベーション、変化する消費者行動、柔軟なワークフローに関する新鮮な視点をもたらしてくれる。
異なる世代の人々をペアにして互いに学び合う機会をつくれば、年齢にまつわる偏見を取り除くことができる。それは、その場にいる全員が教えるべき価値ある何かと、学ぶべき必要な何かを持っているというメッセージになる。この相互のやり取りは、自然にステレオタイプを解消し、深い敬意を育む。
3. 思い込みをアクティブリスニングに置き換える
世代間の摩擦は、多くの場合、誤解されているという感覚から生じる。異なる年齢層の人物を評価する際、大雑把なステレオタイプに頼ることは非常に簡単だ。リーダーは、そうした思い込みを能動的な好奇心に置き換えることで、模範を示さなければならない。
筆者自身のリーダーシップの道のりにおいても、次世代リーダーの視点をすぐに正そうとするのではなく、真に耳を傾ける方法を学ぶ必要があった。若いチームメンバーが職場の柔軟性に関する不満を漏らしたとき、それをコミットメントの欠如として片付けてはならない。一歩踏み込んで質問を投げかけ、その要望の根本にあるものを理解しようと努めるのだ。
同様に、ベテラン社員が新しい業務体制にためらいを示したときも、変化への抵抗とレッテルを貼ってはいけない。時間をかけて彼らの懸念を理解することだ。アクティブリスニングの文化は、一人ひとりがありのままの姿を認められ、価値ある存在として扱われていると感じられるようにする。
チームの力を引き出す
世代間の溝を埋めることは、全員にまったく同じように考え、話し、働くことを強いることではない。多様な視点を1つの統一された文化へと織り込むことである。
これからの最強の組織となるのは、経験に裏打ちされた成熟した知恵と、若さが持つ大胆なエネルギーを活用できる組織だと筆者は考えている。
リーダーとしての仕事は、すべての世代が自分の最善を発揮できると感じられる環境をつくることだ。共通の価値観、相互のメンタリング、真摯な傾聴を優先すれば、潜在的な分断を揺るぎない競争優位へと変えることができる。



