米連邦準備制度理事会(FRB)は米国時間2026年9月16日、政策金利を2023年7月以来3年余りぶりに引き上げた。利上げに踏み切った背景には、8月に雇用が持ち直し、労働市場への懸念が和らいだことがある。インフレ率はFRBが目標とする2%を上回っており、高いエネルギー価格が物価上昇圧力をさらに強めている。
FRBが3年余りぶりに利上げ、FOMCは全会一致で決定
FRBは、米国の主要な政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25ポイント引き上げ、3.75~4%とした。金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)では12人全員が利上げに賛成した。今回の決定は、利下げを求めるドナルド・トランプ大統領の意向に反しており、ケビン・ウォーシュFRB議長にとって大きな試練となる。
インフレ率はFRBの目標を上回っており、原油とガソリン価格の上昇が物価上昇圧力をさらに強めている。FRBは物価を抑える必要があるが、金利を引き上げれば景気を減速させる恐れがある。インフレ抑制と景気への悪影響をどう両立させるかが難しい状況となっている。
FOMCは7月29日の会合では、9対3で政策金利の据え置きを決めていた。反対した3人は0.25ポイントの利上げを主張しており、2026年8月の物価統計が公表される前から利上げを求めていた。物価統計の公表後、市場予想が示す利上げ確率は直ちに53%へ上がり、最終的に90%まで上昇した。
雇用が持ち直し、インフレ抑制を優先できる状況へ
FRBはここ数年、失業率を押し上げずにインフレを抑える政策運営を続けてきた。物価上昇率が数十年ぶりの高水準に達した2022年には政策金利を急速に引き上げ、2023年7月にはFF金利の誘導目標を5.25~5.5%とした。2023年7月の利上げ後は金利を据え置き、インフレが鈍化すると利下げへ転じたため、9月16日の利上げ直前には誘導目標が3.5~3.75%まで低下していた。
2026年8月の消費者物価指数は前年同月比3.4%上昇し、食品とエネルギーを除くコア指数は2.4%上昇した。物価上昇率はFRBの2%目標を上回っている。非農業部門雇用者数は16万2000人増え、失業率は4.1%で横ばいだった。雇用が持ち直したことで、FRBは雇用を支えるために利下げを急ぐ必要が薄れ、インフレ抑制を優先できる状況になった。ただ、利上げは米経済に不必要な負担をかけると主張するエコノミストもいる。
利下げを求めるトランプと対立する可能性
トランプはFRBに対し、政策金利を1%以下へ引き下げるよう求めている。FRBが利下げしなければ、米国が貿易赤字を抱える相手国との貿易を停止すると警告している。
ジェローム・パウエル前FRB議長が2026年5月に2期8年の任期を終えた後、ウォーシュはトランプの指名を受けて議長に就任した。トランプは2026年の中間選挙を前に利下げを求めているが、ウォーシュは9月16日に利上げを決めた。トランプは前任のパウエルと、自身が求めるほど金利を下げなかったことを主な理由に対立した。今回の利上げによって、トランプとウォーシュの関係がパウエル時代と同じような対立へ発展する可能性がある。
予測市場Kalshiでは9月16日のFOMC会合前、トランプが2026年末までにウォーシュを「公然と侮辱する」確率が44%と予測されていた。1カ月前の2倍を超える水準だったが、取引額は約12万ドル(約1860万円)にとどまった。



