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2026.09.19 11:15

【特選記事】「怒鳴らない」新CEOの流儀:サティア・ナデラはマイクロソフトをどう変革するか?

サティア・ナデラ Photo: Stuart Isett / Polaris / Newscom

セコイア・キャピタルのジム・ゲッツは、ナデラについて「いっさい言い訳をしません。側近を連れず、一人で会いに来ますよ」と語る  Brian Smale / Microsoft / Getty Images
セコイア・キャピタルのジム・ゲッツは、ナデラについて「いっさい言い訳をしません。側近を連れず、一人で会いに来ますよ」と語る Brian Smale / Microsoft / Getty Images

マイクロソフトの存在感を維持したまま、2桁成長を復活させるために、ナデラは同社をクラウドコンピューティング分野で不可欠なパートナーに育て上げなければならない。クラウドとは、企業が自前のデータセンターやパッケージソフトを手放し、他社の運用するオンラインサービスへ常時アクセスする形態へ移行する、一大潮流のことだ。マイクロソフトの昨年の設備投資額は、アイオワ州からブラジルに至るクラウド専用データセンターの建設により、ほぼ倍増して43億ドルに達した。アマゾン・ドット・コムがクラウド基盤の首位を維持し、グーグル、セールスフォース、IBMも重要なポジションを占めている。

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しかし、マイクロソフトは業界最速の成長率を記録し、シナジー・リサーチ・グループによると、明確な2番手へと浮上した。この急速な拡大は、かつての「Bing対グーグル」の戦いでは、マイクロソフトが夢見ることしかできなかった躍進である。グレイロック・パートナーズのベンチャー投資家も兼任するワークデイのブスリは、こう語る。

「サティアはクラウドを完全に理解しています。彼はマイクロソフトをその方向へと猛烈に後押ししていくはずです」

セコイアのゲッツも次のように付け加える。

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「マイクロソフトは各社の最高情報責任者(CIO)に対して素晴らしい販路をもっています。それを活用できる絶好の機会が目の前にあるのです」

『非暴力コミュニケーション』が社員の必読書に

これまでマイクロソフトは、最高情報責任者(CIO)に向けて「自社ですべてが揃うソフトウェア企業」だとアピールしてきた。だがクラウド時代を迎え、同社も今やハイテク業界の広大なネットワークを構成するプレイヤーの一社にすぎない。顧客企業は、グーグルやアマゾン、オラクルなどにも巨額の予算を投じているのだ。ナデラが絶えず口にする「モバイル第一、クラウド第一」の戦略は、ユーザーに歩み寄る強い意志を示している。彼は、新たな世界でマイクロソフトが他社と協調的に振る舞うよう主導しているのだ。

ナデラは親しみやすさがもつ力を知っている。彼はよく微笑む。周囲からベジタリアンだと誤解されがちなことについても、穏やかに自虐を交えて話す(実際はベジタリアンではない)。公の場での発言では、現場の技術者から初期の共同創業者ポール・アレンに至るまで、「チーム・マイクロソフト」のさまざまな仲間を称賛する。

ナデラと個別面談をおこなった相手は、ホイットマンをはじめとして、面談後に彼を「素晴らしい聞き手」と絶賛する。誰もが彼を好きになってしまう。彼に、必要以上に自分の希望や不安を打ち明けてしまうのだ。ナデラの情報収集網は常に稼働している。その受信アンテナの感度は、波長を「親しみやすさ」に合わせたときに最も高まる。出張からレドモンドの本社へ戻ったとき、ナデラは競合他社が知らない事実を把握しているのだ。

自らの理念を浸透させるため、ナデラは『非暴力コミュニケーション』(邦訳:日本経済新聞出版刊)という本を読むよう、従業員に勧めている。この本は、マイクロソフトの伝統的な反論である「今まで聞いた中で最も馬鹿げたアイデアだ!」という言葉の代わりに、相手を尊重した傾聴を促す内容である。現在、社員による企業評価サイト「グラスドア」で、ナデラは86%という高い支持率を得ている。これに対して昨年のバルマーの支持率は47%だった。ただし、ウォール街に約束した経費削減を実行に移せば、ナデラの支持率はいずれ低下するだろう。

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