AI

2026.09.17 12:03

アップル、「Siri AI」ベータ版を提供開始──1日の利用上限と有料プラン導入へ

sdx15 - stock.adobe.com

Siri AIは端末とサーバーで処理を分担し、サーバー利用には継続費用がかかる

新しいSiriは利用者のメッセージ、メール、写真から情報を取り出し、アプリ内で操作し、ウェブ上の情報を使って質問に答えられる。処理場所は2つに分かれる。比較的軽い処理はiPhone内のチップが担い、処理負荷が高い要求はアップルが「プライベートクラウドコンピューティング」と呼ぶ仕組みを通じてサーバーへ送られる。

advertisement

アップルのサポートページは、Siri AIをサーバー上のモデルに依存する機能として挙げている。1日当たりの制限は、機能、リクエストの複雑さ、システムへの負荷、システムポリシー、その他の要因によって異なる場合がある。アップルは、すべての利用者に質が高く安定した体験を提供するため、使用制限を設けるとしている。

一部のサーバーはグーグルのクラウドにある。アップルは2026年6月、最も高性能な自社AIモデル「AFM 3 Cloud Pro」がグーグルのクラウド上にあるエヌビディア製チップで動くと説明した。AFM 3 Cloud Proは、複雑な推論など特に負荷が高い処理を担うモデルだ。アップルが2026年9月9日に公表した注意事項では、自動化に使う「ショートカット」アプリからAFM 3 Cloud Proを利用する場合も、使用制限の対象に含まれている。

アップルにとって、iPhone内のチップにかかる費用は端末の製造時に1度発生する。新しいSiriを支えるサーバーでは、要求を処理するたびに費用が発生する。

advertisement

アップルはGeminiと同様、料金を払えばAIを多く使える仕組みを計画

アップルは、新しいAIモデルの構築でグーグルと協力し、Geminiモデルも利用したとしている。グーグルのGeminiアプリには、すでに利用制限がある。

グーグルのヘルプによると、利用枠は週間上限に達するまで5時間ごとにリセットされる。無料利用者には標準枠があり、Google AI Plusはその2倍、AI Proは4倍となる。AI Ultraでは、契約内容に応じてAI Proの4倍または20倍まで利用できる。料金の高いプランほど利用できる量が増える仕組みだ。

グーグルは、アプリの利用が急増した場合に利用制限を変更する可能性があるとしている。需要が高い時間帯には、無料利用者が一部機能を使えない場合もある。アップルも無料で利用できる回数に上限を設け、料金を払えば上限を超えて使える仕組みを計画している。利用制限を変更できる点もグーグルと共通する。

Siri AIを上限以上に使う利用者から料金を得て、サービス部門の収益拡大を狙う

アップルはこれまでSiriそのものに料金を課しておらず、上限を超えてSiri AIを利用するための料金をどの形で販売するかも明らかにしていない。iCloudストレージやApple Musicなど、アップルのサブスクリプションはサービス部門に含まれる。

2026年6月期、業績資料によると、サービス部門の売上高は307億ドル(約4兆7585億円)と前年同期比12%増え、売上原価は75億ドル(約1兆1625億円)だった。売上原価を差し引くと、サービス売上高1ドルのうち約76セントが残る。ハードウェアでは約40セントだった。1ドルの売上が生む粗利益は、サービスがハードウェアのほぼ2倍だ。

2026年6月期にサービス部門はアップル全体の売上高の28%を占めたが、直接原価を差し引いた利益では42%を占めた。Siri AIを上限以上に利用するユーザーから料金を得られれば、売上1ドル当たりで最も多く利益を残す事業に新たな収益が加わることになる。

次ページ > 半導体株がAI開発減速論で下落した日、アップルはAIの利用増加を有料化すると示す

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事