これこそが、経営に関する多くの論説が見落としがちな、経済全体にわたる企業レベルの実証データである。これは、よくある「5つのステップ」のような形式的な手順でも、都合の良いサンプルだけを抜き出したものでもない。米国と欧州で最も注目されている上場企業の、丸10年間にわたる実際の業績実績なのだ。
なぜ多くの企業は、業績の優れた企業から学ばないのか
リターンにこれほどの差があるのに、なぜ多くの著名企業が今なお失敗したIBMの道を歩み続けているのか。
第一に、従来のマネジメントからのパラダイムシフトはすでにかなり進んだ段階にある。しかし、指揮命令系統、プロセス、そして利益を目的とすることに基づいて構築された企業は、スプレッドシートのデータを書き換えるほど簡単には変われないのだ。古い運営方法は、多くの人々のキャリアが今なお依存している、深く根ざしたアイデンティティなのだ。「啓発された株主価値」「長期的ステークホルダー資本主義」「AIを活用した戦略」「創意工夫の展開」といった言葉で語彙を新しく見せたくなる誘惑は大きいが、外部の顧客主導で測る実際の成果指標には何の変化も見られず、むしろ低下していることさえある。
第二に、「価値」という言葉には、まったく相反する2つの意味がある。ある企業群にとって価値とは、顧客の状況が改善されることを意味する。別の企業群にとって価値とは、今四半期に株主に帰属する残余利益を意味する。どちらの意味も、企業の年次報告書の同じページに並んで記載されることがある。しかし、それらが示す企業のあり方はまったく異なる。ピーター・ドラッカーは、1954年の著書『The Practice of Management(現代の経営)』で、この曖昧さを払い、本質を明快に定義した。すなわち、企業の目的として有効な定義は一つしかない。それは、顧客を創造することである。利益は結果であり必要条件であって、目的ではないのだ。
第三に、言葉づかいを簡単に変えるだけで、あたかも成功しているように見せかけることができる。イノベーションを遅らせることで、投下資本利益率(ROIC)を一時的に引き上げることができる。自社株買いは企業の衰退を覆い隠すことができる。3年間の相対的な総株主リターンは、本質的な価値創造ではない。真の価値創造とは、自社株の権利確定(ベスティング)を待つ間に市場がその株をどのように扱うか、といったことではないのだ。


