欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は16日、カナダをEU初の「準加盟国」として受け入れるための「道を開く」と表明した。
フォンデアライエン委員長は施政方針演説で、カナダをEU初の準加盟国とする目標に向け、同国のマーク・カーニー首相と協力していきたいと述べた。その上で、EUとカナダの自由貿易協定である包括的経済貿易協定(CETA)から「共通の繁栄と経済安全保障」を実現するための「未来に向けた同盟」へと発展させたいとの意向を示した。この強固な協力関係の具体像について、同委員長は、製造業での協力や「技術同盟」の構築、防衛産業基盤の統合、人工知能(AI)の推進のほか、北極圏を「旗艦となる共同プロジェクト」とすることなどを挙げた。
同委員長は、こうした協力が「規則に基づく国際体制の亀裂」に対応する手段だと指摘。スイス・ダボスで1月に開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でカーニー首相が行った演説に同調する姿勢を見せた。フォンデアライエン委員長は、AI、気候変動、防衛、ウクライナ侵攻といった問題について、EUとカナダは目標を共有しており、何よりも「民主主義を信奉している」と強調した。
フォンデアライエン委員長は米国のドナルド・トランプ大統領を名指しすることは避けつつも、同大統領による関税措置を巡り、同国とカナダが対立を深める中で、EUがカナダとの連携強化を呼びかける形となった。同委員長は「これは他者を敵視するものではなく、私たちの共通の力を高めるための協力だ。要するに、私たちはカナダとの関係を可能な限り高い水準に引き上げたいと考えている」と説明した。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは12日、関係筋の話として、EUとカナダの間で準加盟の可能性を巡り、協議が進められていると報じた。同紙によると、合意の具体的な内容は定まっていないものの、北極海経由での肥料の輸送や新たな天然ガスパイプラインの敷設などを通じて、双方の貿易の拡大が見込まれている。特にカナダからの天然ガスパイプラインは、ロシア産エネルギー資源への依存を低減する目標を掲げているEUにとって助けとなるだろう。
米国とカナダの貿易摩擦は、トランプ大統領がカナダからの主要輸入品目に50%の関税を課したことで激化した。これに対しカナダは、鉄鋼、乳製品、家電製品、農業機械、パルプ・紙、特定の電子機器を含む約700品目の米国製品に15~50%の報復関税を課すことで応酬した。これを受け、トランプ政権は一部の乳製品やアルコール類、オートバイなど、特定のカナダ製品の輸入を禁止する措置を講じた。



