つまり、ここではすでに保有しているものを維持することよりも、新しいものを購入したり開発したりすることが圧倒的に優先されている。
欧州も同様だ。NATO全体で対ドローン能力の整備に向こう5年で400億ドル(約6兆2000億円)超を投じることにしている。欧州連合(EU)は東部の国境沿いにレーダー・センサー網を構築しており、2027年までの運用開始を目指している。
ドローン企業の受注は好調だが株価はさえない
ドローンや対ドローン技術に関連する公開企業7社の株価バスケットを作成してチャート化すると、過去12カ月で約28%下落していることがわかった。同じ期間にダウ・ジョーンズ米国航空宇宙・防衛株指数は約10%上昇し、S&P500種株価指数は約18%上昇している。
ドローン関連7銘柄のバスケットがピークをつけたのは、ちょうど欧州の空港閉鎖のニュースが相次いでいた2025年10月だった。それ以降、約47%値下がりしている。
このバスケットにも入れている前出のエアロバイロンメントの状況を見てみよう。エアロバイロンメントはドローンにほぼ特化した銘柄と言える。同社は直近の四半期決算で、受注残のうち顧客の資金がついているものが前年同期比37%増の15億ドル(約2300億円)と過去最高に達したと発表した。新規受注額は売上高のおよそ1.4倍に達している。ただ、需要が非常に大きい半面、売上高の伸びは6%にとどまっている。株価は、カバーするアナリストのほとんどが「買い」と評価しているにもかかわらず、過去12カ月でおよそ40%下落している。
バスケットの別の一社で、探知機やジャマー(電波妨害装置)を手がかるオーストラリア企業のドローンシールドは、2026年上期に売上高が74%増えたものの、営業損益は大幅な赤字に転落した。株価は1年で約46%下落している。
マネーは実際はどこへ向かったのか?
投資仮説は正しかった。安価で消耗可能な自律型兵器の登場により、戦争の仕方が再構築されている。西側諸国はそれに追いつくため、巨額の資金を投じる──。そうした見立てだ。
だが、この投資仮説に従って値上がりしているのは、これまでのところ、ドローンを製造する企業の株価ではない。上がっているのは、ドローンによって破壊されている製油所でつくられる燃料の価格だ。そして、1バレル200ドル近くに達したディーゼル価格は、すべてのトラック運転手、すべての農家、すべての航空会社、地下室に石油暖房設備を備えるすべての家庭に、コストとしてのしかかっている。
筆者が注視しているのはこの部分である。


