解決策は、ドローンを阻止するコストをそのドローンのコストに見合うほど引き下げることだ。それを実現する手段のひとつが指向性エネルギー兵器である。米陸軍は今月、米エアロバイロンメント製の高エネルギーレーザーシステム「LOCUST(ローカスト)」を調達するため、同社と4億6480万ドル(約721億円)の契約を交わした。驚くべきことに、同社によるとLOCUSTの迎撃コストは1照射あたり5ドル(約780円)足らずだ。米陸軍は、高エネルギーレーザー兵器の生産契約を結んだのはこれが初めてだと説明している。
2万ドル対5ドル。これが米国防総省の目指すコスト比である。そして、そこに到達しようとする競争に資金が注ぎ込まれている。
欧州で相次ぐドローンの領空侵犯、米当局も空港などの防護に動く
昨年秋、北欧のいくつかの空港が正体不明のドローンによって閉鎖に追い込まれた。ポーランドでもドローンが領空に侵入し、同国軍機や北大西洋条約機構(NATO)軍機が緊急発進(スクランブル)した。今年夏、ドイツではライプツィヒの空港で爆発物を搭載したドローンが見つかった。ルーマニアでは黒海の天然ガス開発区域付近で海洋ドローン(無人艇)が発見され、戦闘機が緊急発進して破壊した。
過去2年間にNATO加盟国のうち十数カ国がドローンなどによる領空侵犯を報告しているが、いずれもNATOの正式な集団的対応を招くには至っていない。なぜか。それぞれの事案は、そうした対応を必要とする基準をわずかに下回るよう意図的に調整されていたからだ。
一方、米国では、国防総省が国土安全保障省や連邦航空局(FAA)とともに、国内の空港上空でドローンを撃墜する権限の整備に取り組んでいる。議会予算局(CBO)は、小型ドローンの脅威から軍事施設を守るのにかかる費用を試算した。それによると、整備費だけで1カ所あたりおよそ7400万ドル(約110億円)を要し、さらに維持・運用費が年間に500万ドル(約7億8000万円)ほどかかる。100カ所なら整備費だけで約74億ドル(約1兆1000億円)必要になる。
装備の新規調達を大幅に増やすペンタゴン
予算対応は劇的に変化している。ブルームバーグのデータによれば、米国の2027会計年度(2026年10月〜2027年9月)の防衛予算要求では、調達費が4130億ドル(約64兆円)と前年度の2050億ドル(約31兆8000億円)からほぼ倍増している。研究開発費も1790億ドル(約27兆7000億円)から3440億ドル(約53兆3000億円)へと、やはり倍近くに増えている。一方、運用・維持費も増えているが、伸び率は20%ほどとなっている。


