Forbes JAPAN 2026年10月号は、日本発「世界を変える30歳未満」30人「30 UNDER 30」を特集。
30歳未満の次世代をけん引する若い才能に光を当てるアワードで、米『Forbes』が11年より開催し、世界的に注力している企画だ。『Forbes JAPAN』でも18年から8年間で総計330人を選出してきた。今年の受賞者も、AI革命の真っただなかで先頭に立ち、想像力、知性、そして並外れたグリット(やり抜く力)をもって、「自分が思うより良い未来」を目指す30人。彼ら彼女らがつくる「 新しい社会、新しい経済」から見えてくるものこそが、日本の未来の希望になるーー。
今年の「30 UNDER 30」受賞者のひとりが、プロッセルホールディングス 代表取締役CEOの横山和輝だ。
30 UNDER 30に選出された起業家を“遅れてきた大物”と呼ぶのは違和感があるかもしれない。ただ、プロッセルホールディングスの横山和輝は、そう形容することが相応しく思える。起業家として芽が出るまで、最短のキャリアを歩んできたわけではないからだ。
横山は高専出身のバックグラウンドを活かして起業したが、そもそも高専との出会いが足踏みの結果だった。小学生の頃は全国大会常連の少年サッカーチームでレギュラーだったが、中学に上がると控え選手に。サッカーに見切りをつけ、チームメイトと顔を合わせないで済む環境に行こうと全寮制の学校を探した。新潟県内に二つ該当する学校があり、その一つが長岡高専だった。
もともと理系は得意だったが、上には上がいた。学科やバイトが同じで、寮で隣の部屋だったのが、RoboCup世界大会で優勝した樋口翔太(Closer代表取締役)。「化け物。勝てるとは思えなかった」と、エンジニアとして身を立てる夢は早々に諦めた。
高専出身の起業家の講演を聞いて、起業という選択肢を初めて意識した。具体化したのは、何か人と違うことをしようとフィンランドに留学したときだ。現地のビジネスプランコンテストに出場すれば単位認定されると知り、生まれて初めてビジネスプランを書いた。
「留学先で知り合った日本の友人は、『留学中は就活できないから帰国後に大学を1年留年する』と言っていた。就活のために留年するのは時間がもったいない。そこで企業の課題をビジコンのテーマにして、オンラインビジコンと就活をセットにする就活・採用支援のプランを考えました」
帰国後、高専人材に絞って事業化を目指したが、起業のイロハがわからない。まずは経験を積もうと、留学先で知り合った友人に紹介してもらったのが、タイミーを創業したばかりの小川嶺だった。半年間、同社でフルコミットのインターンとして働きながら急速にスケールしていく事業を間近で見た。
エンジニアの樋口と、起業家の小川。先んじて頭角を現した同級生らの背中を見て、焦りはなかったのか。
「樋口は根っからのエンジニアで、話すのは私のほうが得意。一方、小川は起業家なので技術について負けるつもりはありません。技術と経営のハイブリッドであることが自分の強みだろうと、当時からなんとなく予感していました」



