資産運用

2026.09.17 11:15

「お小遣い制度」をきっかけに投資家の道へ──ゆうちょアセットマネジメント ケビン・チャングの原点

ゆうちょアセットマネジメント バイアウト投資部 ヴァイスプレジデント ケビン・チャング

ゆうちょアセットマネジメント バイアウト投資部 ヴァイスプレジデント ケビン・チャング

日本の資本市場が歴史的な転換期を迎え、新NISAによって資産運用がより身近なものとなる中、就活を控えた大学生にとっても、証券業界や資産運用業界への関心が高まっている。しかし、日本は海外に比べ、実践的な金融教育の機会が決定的に不足している。この課題に挑むのが、日本最大級の大学生企業分析コンテスト「Gyoseki Competition(Gyoseki大会)」だ。米国カリフォルニア州出身のケビン・チャングは、2016年に南カリフォルニア大学を卒業後、JPモルガンなどでの社会人経験を経て早稲田大学ビジネススクールに入学。在学中に第1回Gyoseki大会に出場した。現在はゆうちょアセットマネジメント バイアウト投資部でヴァイスプレジデントを務めるチャングに、投資家としての原点と、大会で得た学びについて聞いた。

advertisement

──まず、投資に興味をもったきっかけを教えてください。

ケビン・チャング:子供の頃です。両親が「新聞記事をどれだけ読んだか」でお小遣いの額を決める仕組みをつくっていて、家で購読していたのがウォールストリート・ジャーナルでした。最初はビジネスの記事ではなくて、レシピの記事や旅行に関する記事を好んで読んでいました。そうした記事は文章も読みやすく、とても楽しく読めたのです。

ビジネスの記事を読んでも最初は意味をよく分かっていませんでしたが、高校生になる頃には、例えばアップル関連の記事などを読むようになりました。

advertisement

私の地元はアップルの本社があるカリフォルニア州クパチーノで、通っていた中学校は同社の真向かいにありました。2007年にiPhoneが発表された瞬間も私はそこに住んでいました。アップルが世界を変えていく様子を目の当たりにしたことも、投資に興味をもったきっかけです。この20年を代表する投資ストーリーのひとつになっていくのを見たわけですから。

──ユニークなお小遣い制度ですね。ご両親はどうしてそれを始めたのでしょうか。

このインタビューが終わったら聞いてみようと思います(笑)。両親が育ったベイエリアでは、周囲の親の多くがテクノロジーやベンチャーキャピタル業界にいました。ビジネスの世界で何が起きているかを知っておくことが、ある種の市民の義務のような環境だったんです。

テクノロジー分野の起業家だった父も、多くの投資家たちと仕事をしていました。もしかしたら、私には起業家ではなく、投資に関わる仕事をしてほしいと思っていたのではないかと思います。

米国では、第2代大統領ジョン・アダムスの「政治と戦争を学ぶのは、息子たちが数学や哲学を学ぶ自由をもてるように。そのまた子どもたちが絵画や詩、音楽を学ぶ権利をもてるように」という言葉が知られていますが、ユニークなお小遣い制度も父のちょっとした考えのひとつで、私にビジネス志向の強い人間になってほしいという思いがあったのかもしれません。

母とはこんなエピソードもあります。12歳の時に、ジュースが好きだった私に、「ジャンバジュース(スムージーのチェーン店)の株について分析してみて」と頼んできたんです。私はただ単に美味しいからその店が好きだったのですが、「なぜ美味しいと思うのか」「それはビジネスにおいてどういう意味をもつのか」とさらに深く質問してきました。これは「良いビジネスとは何か」を考え始めるきっかけになりました。

──Gyoseki大会に参加する前に、社会人を経験されていますね。

私が打ち込んでいたボーイスカウトの活動で出会った先輩や、大学の友人に投資業界で働く人が多かったんです。その影響を受けて、南カリフォルニア大学卒業後にJPモルガンに入りました。M&Aアドバイザリー業務からキャリアを始め、英投資ファンドのペルミラでテクノロジー分野への投資、Monk's Hill Ventures(シンガポールに拠点を置くベンチャーキャピタル)でベンチャー投資を経験しました。

仕事で日本企業のクライアントを担当したことで、日本のビジネスに強い興味をもちました。当時、日本には株式市場で過小評価されている中型株が多くあることも知っていましたし、日本の投資機会に確信のようなものをもっていました。実際に日本で学んでみたいと思い、早稲田大学ビジネススクールに入学しました。そこで、Gyoseki大会の存在を知ることになりました。

次ページ > 限られた情報で意思決定する力

文=中居広起 写真=米田麻里子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事