電動エアタクシーを開発するジョビー・アビエーションの株価は、過去12カ月で約54%下落した。現在の株価は、52週高値から68%下落している。同社の電動エアタクシーは、いまも型式証明(機体の設計が安全基準を満たしていることを航空当局が認める証明)の最終段階にある。それでも、ジョビーの事業の中には、早期の株価見直しの契機となり得るものが存在する。有料の乗客を運送する既存の旅客事業だ。
ジョビーの運航にいま運賃を払っているのは誰か
ジョビーは約1年前、ヘリコプターなどによる移動サービスを手がけるブレード・エア・モビリティの旅客事業を買収した。ブレードは現在も運賃を払う乗客を乗せ、ニューヨークの空港への送迎便や、路線を拡充したハンプトンズ(ニューヨーク州ロングアイランド東部の高級リゾート地)便を運航している。
2026年第2四半期には、前年同期より50%以上多い座席を販売した。夏の繁忙期に向けた需要の伸びや大型イベントが追い風となり、販売座席数で見れば、ブレードとして過去最高の第2四半期となった。ブレードの上半期の売上高は、前年同期比で32%増えた。その上でジョビーは、2026年通期の売上高見通しを1億1500万〜1億2500万ドル(約178億〜194億円)に引き上げた。
同社自身の説明によれば、こうした路線の多くで制約になっているのは、乗客の不足ではなく、使える機体の数である。ブレードが売っているのは移動時間の短縮だが、それを提供するための機体が足りていない。ジョビーが独自開発する機体は、この供給不足の解消を目的としている。また、ジョビーは米連邦航空局(FAA)が認めた運航の枠組みに参加し、商用運航に必要な型式証明を正式に取得する前に、飛行の実績を示そうとしている。その一つが、eVTOL統合パイロットプログラム(eIPP、eVTOLは電動垂直離着陸機)だ。
型式証明の取得前に、どうやって乗客を運ぶのか
認証前に乗客を運ぶための道筋となるのが、eIPPである。eIPPはホワイトハウスが推進する実証プロジェクトで、FAAが各州と組んで運営している。ジョビーは2026年9月にダラス・フォートワース都市圏で、1週間にわたる集中的な飛行実証を始めた。一部の便は、ダラス・フォートワース国際空港そのものに乗り入れた。この制度は段階を追って進む。まずパイロットだけで飛び、次に運賃を払わない乗客を乗せ、そのあと運賃を払う乗客を乗せる。
経営陣は、eIPPの枠組みで認められる範囲で、どのような運航や事業展開が可能かを検討している。



