オーナーの個性が反映されたホテルという意味では、「ベストホスピタリティ」賞に輝いた約130年の歴史をもつ老舗ホテル、スイス・サンモリッツの「バドラッツ・パレス」もそうだ。
スイスには多くのホスピタリティスクールがあり、18世紀から山岳リゾートとして親しまれてきた歴史がある。マネージング・ディレクターのリチャード・ロイエンベルガー氏は「スイスには個人がオーナーのホテルが多く、彼らはホテルを単なる収益を得るための仕組みではなく『特別な体験をつくる場所』だと考えている」という。実際、バドラッツ・パレスではオーナーが利益をホテルと従業員に100%再投資している。
ホテルでは「ゲストの声を聞き、できるかぎりNoと言わないこと。ゲストが期待するサービスではなく、ゲストがまだ言語化できていないような夢を実現すること」をモットーとして、例えばゲストが車で到着した際に、洗車をするのはもちろん、給油もしておくような、日本のおもてなしにも通じる、きめ細かなサービスを提供している。
世界のベストを一覧に
2002年に生まれた「50 Best」のランキングは、来年25周年を迎えるにあたり、今回から「The 50」と名称を変更。元々テレビ局やブランドマーケティングの仕事をしてきたリサ・グリーン氏をコンテンツ部門のマネージングディレクターに迎え、発信方法も大きくテコ入れした。
「これまでは世界版や地域版のレストラン、ホテル、バー、ヴィンヤードなどのランキングが13のウェブサイトに分散していた。これを統合することで、どこかに行く際に全ての『ベスト』を一覧できるようにしたい」と語り、ラグジュアリー同様に、シームレスに情報を得られる便利さが求められていることがうかがえる。
新しくなったウェブサイト自体も、動画や音、ソーシャルメディアを組み合わせたプラットフォームで、ランキングを発表するだけにとどまらず、その周囲にあるストーリーを魅力的に伝え、より感情に訴えかける体験として発信しているのが印象的だ。
グリーン氏は、「多様なランキングやアワードがあることは、様々な視点から業界に光を当てることになり、ホスピタリティ業界全体の活性化につながる」とも考えている。その上で、「『ザ・50』のアイデンティティは、業界の人と人がつながるコミュニティづくり。今後もつながりを生む場づくりに注力していく」という。


