ウクライナは9日、ロシア軍は2022年2月の侵攻開始以降、150万人を超える死傷者を出していると報告した。米シンクタンク戦争研究所(ISW)は、すでにこれだけの死傷者が出ているにもかかわらず、「ロシア軍は依然として甚大な人的損失を被り続けている」と指摘した。他方で、ロシアの「戦場での成果はごくわずか」にとどまっている。こうした人的被害に加え、同国は数千億ドル相当の防衛装備を失ったと伝えられている。
侵攻開始当初、米政府系メディアのボイス・オブ・アメリカ(VOA)は、ロシアが15日間でウクライナ全土を制圧することを目指していると報じた。しかし実際には、同国は4年半以上にわたり軍事侵攻を続けている。
ウクライナ侵攻が続く中、ロシアと国境を接する東欧やユーラシア大陸の国々は情勢を注視してきた。これらの国々は、ウクライナとの戦闘がロシアの経済や労働力、軍事力に与える影響に注目している。侵攻開始当初、ロシアは「無敵の超大国」と見なされ、ウクライナを容易に打ち負かすものとみられていた。ところが、ウクライナ侵攻は5年目を迎え、ユーラシア大陸の国々は安全保障や貿易の面で頼りになる他の強国との関係を構築しようと、ロシアからは徐々に距離を置き始めている。
こうした動きが見られる地域の1つが中央アジアだ。米シンクタンク、カスピ海政策センター(CPC)は、ウクライナ侵攻の長期化に伴い、中央アジア諸国は中国との関係を深めていると報告した。中国と中央アジア5カ国(カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、キルギス)との貿易額は、22年時点では700億ドル(約11兆円)だったのに対し、23年には900億ドル(約14兆円)を超え、25年には1060億ドル(約16兆円)に達した。
両者は経済関係だけでなく、防衛上の結び付きも強化している。米コロンビア大学ハリマン研究所が運営するニュースサイト「ユーラシアネット」は8月20日、中国は「中央アジアの武器市場を支配するロシアに挑んでいる」と伝えた。
例えば、カザフスタンは中国製の攻撃用無人機(ドローン)「翼竜1」や軍用輸送機「Y8F200」を導入した。同国は中国と練習機「K8W」などについても交渉している。一方、ウズベキスタンは8月、中国製の多用途戦闘機4機を受け取ったとみられている。同国は中国から地対空ミサイル発射装置も調達した。トルクメニスタンも同様の発射装置やその他の長距離防空システムを中国から購入している。タジキスタンは装甲車両を受領したほか、中国はキルギスにも車両や装備を供給している。



