有効なコンテンツマーケティング戦略を立てるための魔法はない。何らかの行動を習慣にするのと同じことだ。どんな習慣でもそうであるように、簡素で効果的で、容易に実践できるものであれば継続することができる。
そうした戦略を立てるには、次の段階を追う必要がある。
1 目標の明確化
コンテンツマーケティングを行うことで何を得たいのか、なぜこの戦略を立てるのかを明白にしておくこと。「事業拡大」では不十分だ。具体的かつ計測可能な目標を立てること。
2 コンバージョンの定義
何が自社のキャッシュフローに影響を及ぼすのかを把握できていないのなら、何によって事業を計測可能にできるかを明らかにする必要がある。まずは、何をコンバージョンと定義するのか決めなくてはならない。
また、コンバージョンを定義できれば、投資回収率を把握できるようになる。投資回収率が分かれば、コンテンツマーケティングが成功する確率は倍に高まる。
3 顧客層の特定
次に、コンテンツマーケティングを通じて獲得したい顧客層を特定する。
顧客層を明確にし、その顧客層にとっての優先順位を理解し、彼らが知りたいことに絞って情報を提供する。
4 特定した顧客層に適切なコンテンツの作成
顧客層を特定し、彼らの行動の傾向を把握できて初めて、適切なコンテンツの作成が可能になる。
まずは、役立つコンテンツにすることを考える。アイデアを50くらい挙げて、効果のなさそうなものから削っていき、少なくとも半分程度にまで絞り込む作業を行う。
さらに、メールの文面として使ったり、内容を分割してSNSに投稿したりできるよう、再利用が可能なコンテンツにすることも大切だ。
5 特定した顧客層を対象とするコンテンツの拡散
次のような方法で、作成したコンテンツを広める。これは、コンテンツ作成と同じくらいに重要だ。
・SNSに投稿する
・関連の分野で影響力を持つ人から協力を得る
・検索エンジン経由のトラフィックを最適化する(SEO)
これらはコンテンツマーケティングにおいて非常に重要な点だが、残念ながら戦略の中で、最も見落とされることが多いようだ。そして、最もよくあるコンテンツマーケティングの失敗の原因のひとつになっている。
メールやSNSへの投稿、SEOはコンテンツを広める方法として有効だが、料金が発生する方法(投稿を依頼する)などの方法も検討する価値がある。時間的制約がある人たちなど、一部の層にはこの方法が効果的だ。
6 戦略の評価
・目標は達成できたか?
・コンバージョンの定義は有効だったか?改善は必要か?
・潜在顧客層からの反応はあったか?
これらの質問への答えを出したら、最初に立てた戦略を見直し、必要な修正を行う。戦略は絶えず更新される生きた文書だ。
戦略は文書化すること
コンテンツマーケティングに関する米国の研究・教育機関「コンテンツマーケティング・インスティテュート」が実施した調査の結果によると、B to Bビジネスのマーケティング担当者のうち、コンテンツマーケティング戦略を文書化していると回答したのは35%にとどまっている。だが、これらのうちコンテンツマーケティングを非常に有効だと答えたのは60%に上る。一方、文書化していない企業で有効だと答えたのは、わずか32%だった。
最後に
コンテンツマーケティングは、複雑なものである必要はない。これに関して学ぶべきことの大半は、実践によってのみ分かることだ。