エストニア国防軍は9月1日午前、東部の県の住民にテキストメッセージで警報を送り、「ドローン(無人機)を見つけた場合は避難するよう」に呼びかけた。これは訓練ではなかった。北大西洋条約機構(NATO)の戦闘機が脅威に対処するため緊急発進(スクランブル)し、その後、警報解除が出された。
面積約4.5万平方km、人口140万人弱のエストニアは、ロシアと300kmほどにわたって国境を接する。ロシアがNATO側への侵略行為に及んだ場合、文字どおり最前線になるのがエストニアだ。ロシアの侵略は差し迫っているおそれがあると警鐘を鳴らす人もいる。
エストニアは過去に東側からも含めて侵略された経験がある。今度そうした試みがあった場合は、事前の備えと技術への投資のおかげで、結果は大きく異なるものになる可能性がある。
歴史の教訓に学ぶ
エストニア海軍の「1号艦」という名誉称号を与えられている潜水艦「レンビット」は、タリンにあるエストニア海事博物館の目玉展示だ。世界遺産の歴史地区にある本館から少し歩いた海沿いにある、かつて水上飛行機の格納庫だった建物に鎮座している。エストニア向けに英国で建造され、1936年に進水したレンビットは、当時の軍事技術の最先端を体現する存在だった。
The story of "EML Lembit", an Estonian submarine that served in the Soviet Navy during WWII pic.twitter.com/fm5a8p5n1G
— NATO (@NATO) November 10, 2016
レンビットは魚雷発射管を4基備えるが、主兵装は機雷だった。1回の任務で機雷を24個敷設でき、バルト海の狭い海峡や航路を封鎖する能力があった。水上艦艇であればソ連海軍によって撃沈されるおそれもあったが、潜水艦が機雷敷設で侵攻部隊を妨害するのを阻む手段はなかった。実際、バルト海での海戦は機雷に支配されることになる(編集注:たとえば1941年8月のタリン撤退戦で、クロンシュタットへ退避しようとしたソ連の艦船はユミンダ岬付近で広範囲の機雷原に阻まれ、ドイツ・フィンランド軍の攻撃で数十隻が沈没、軍人・民間人合わせて1万人以上が死亡するという甚大な損害を被った。ちなみにレンビットは当時、接収・編入されたソ連海軍側で行動している)。海事博物館では、ソ連による攻撃の脅威から国を守るため沿岸部に設けられていた多数の砲台にも、かなりの展示スペースが割かれている。



