マーケティング

2026.09.18 14:15

「服だけを正しく選んでも、プレゼンスは成立しない」Z世代ファーストレディの最適解

Rama Duwaji and New York City Mayor Zohran Mamdani look on during the New York Knicks Championship ticker tape parade and victory rally celebrating winning the 2026 NBA Finals on June 18, 2026 in New York City/Getty Images

Rama Duwaji and New York City Mayor Zohran Mamdani look on during the New York Knicks Championship ticker tape parade and victory rally celebrating winning the 2026 NBA Finals on June 18, 2026 in New York City/Getty Images

従来のエグゼクティブ・プレゼンスの文脈で「装い」が語られるとき、多くの場合は「権威を示す服」「信頼感を与える服」「上質さや格を感じさせる服」という方向に議論が向かっていた。スーツの色、素材の質感、アクセサリーの選び方……そういった話だ。

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もちろん、それは間違いではないし、長い間「基準値であり正解」とされてきた。それは今もなお、重要なスタンダードの一部だ。しかし、それだけでは語りきれないものが、現在のグローバル社会におけるプレゼンスには存在する。

それが「場のストーリーを想像する力」だ。

2026年6月、ニューヨークでニューヨーク・ニックスの53年ぶりのNBAチャンピオンシップを祝う優勝パレードが行われた際、ゾーラン・マムダニ市長の傍らに立ったファーストレディ、ラマ・ドゥワジの装いが注目を浴びた。

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そのスタイリングについてはこちらの記事で解説している。本稿では、彼女が可視化している新しい世代のエグゼクティブ・プレゼンスの本質をより詳しく描く。「場のストーリーを想像する力」を持つ彼女は、日常的な選択と、公的な場におけるメッセージが一致しているのだーー。

「場のストーリー」とは何か

もしこの日が就任式や国際的な公式晩餐会であったなら、クラシカルで格調のある装いが求められただろう。場の持つ重厚感と、装いの持つ重厚感を合わせることが、その場での最適解になる。

しかし、バスケットボールの優勝パレードは、まったく別の文脈を持つ場だ。夜明け前から沿道に並んだ市民が、Tシャツ一枚でスターたちを迎える、街全体の祝祭だ。熱狂があり、色があり、笑顔がある。その場に従来型の堅いジャケットスーツで現れていたなら、市民との間に距離を生んだ可能性がある。権威を示すはずの装いが、かえって「場のストーリーを想像できていない人」という印象を与えかねない。

ラマがまとったトップは、沿道の市民が着ていたのと同じ「ニックスのTシャツ」から作られていた。街と同じ布をまといながら、それをアートとして昇華させる。Tシャツという素材はカジュアルに分類されるが、この装いは「カジュアルダウン」ではない。場の文脈を正確に想像し、その場にふさわしい表現を選び取った結果だ。

エグゼクティブ・プレゼンスとは、常にフォーマルであることや、同じ自分を提示し続けることではない。場によって何が求められているかを想像し、その文脈に最も響く表現を選び、自分の主軸、担う役割、思想を一つのトーンとして表すことだ。

そしてこの「場のストーリーを想像する力」は、視覚言語で世界と対話してきたアーティストであればなおさら、自然に持ち得る能力でもある。

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文=日野江都子

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