職場で、ますます希少になっていて、驚くほど有用かもしれない経験がある。
何も起こらないことだ。
返信すべきメールはなく、これから始まる会議もない。画面に通知が表示されることも、歩きながらポッドキャストを聴くこともない。コーヒーを待つ間にスマートフォンをチェックすることもない。
心が特にどこに向かうでもない、ほんの数分間の時間。私たちは通常、それを「退屈」と呼び、そしてそれを排除することが驚くほど得意になった。
現代の仕事は、空白の時間を埋める機会をほぼ無限に提供している。一つのタスクが終わった瞬間、次のタスクを始めることができる。会議前の5分間の隙間時間は、メッセージをチェックするのに十分な時間となる。電車での移動はメールを処理する機会になり、昼食さえも情報を消費するチャンスになり得る。
これは一見、非常に生産的な行動に思える。しかし同時に、仕事において本質的に重要な何かを奪っている可能性が高い。
ひらめきやアイデアが立ち現れるためには、あらかじめ脳内に「余白」をつくっておくことが欠かせない。
あなたが働くのをやめても、脳は働き続ける
私たちは、思考を意図的な活動だと想像しがちだ。
解決すべき課題があれば、腰を据えて集中する。アイデアが必要なら、ブレインストーミングのセッションをスケジュールに入れる。戦略を策定する必要があるなら、それを議題に載せる。
これでうまくいくこともある。
しかし、多くの人はその逆も経験している。難しい問題への答えがシャワーを浴びているときに浮かぶ。犬の散歩中に文章がひらめく。午後中ずっとつなげようとしていた点と点が、夕食を料理しているときに突然、明白につながる。
これは必ずしも偶然ではない。
マインドワンダリング(心の迷走)と創造性に関する研究は、負荷の低い活動を行う時間が、ある種の「創造的なインキュベーション(孵化)」を促進する可能性を示唆している。注意が課題に固く向けられなくなったとき、脳はバックグラウンドで関連付けを継続できるのだ。
それは、退屈が自動的に素晴らしいアイデアを生み出すという意味ではない。退屈な時間のほとんどは、退屈なままだ。
しかしそれは、脳が絶えず情報で占有され続ける状態には、相応のデメリット(代償)が伴うことを示唆している。



