新機能の「準備度」は、最近の活動量、トレーニング負荷、睡眠、心拍数やHRVなどのバイタルを組み合わせて、「0~10」(各1段階)のスコアでその日の状態を示す。スコアは就寝時に計測した結果が、毎朝に一度だけ表示されるのではない。運動や昼寝などを反映してデイタイム(日中)にも変化する。
Apple Watchが計測する複数種類の指標を、それぞれにユーザーが読解する手間が減り、「今日は負荷を高めるか、回復を優先するか」を考えられる、シンプルな入口になる。
電力消費を抑えながら高密度な心拍測定を実現
この体験をハードウェアから成立させたのがKim氏のエンジニアリングチームだ。最大の難題は心拍数の測定間隔を従来の5分ごとから5秒ごとへ、60倍に高めながら、Apple Watchが内蔵するバッテリーに負荷をかけることなくきめ細かなリアルタイム計測を実現することだった。
「測定頻度は60倍になりましたが、そのぶんウォッチに60倍もの大きなバッテリーを搭載したわけではありません。大きく貢献した要素のひとつは、電力効率を改善した次世代のチップセットであるApple S11です。さらに重要なのが、増加したデータをバックグラウンドで電力効率よく処理できる次世代の常時稼働プロセッサ(Always-On Processor)です」(Kim氏)
Apple Watchのセンサーが獲得したデータを、この常時稼働プロセッサがシステム全体が消費する電力を低く抑えながら処理する。転倒検出や不規則な心拍の通知など、従来から常時稼働している機能を維持しながら、高頻度測定を加えることができた。S11チップの真価はアプリの高速動作だけでなく、ユーザーのヘルスデータを常時安全・高効率に扱う基盤へと進化したことにある。
光学式心拍センサーも全面的に再設計された。大型で電力効率の高い緑色LEDを採用するとともに、フォトダイオードの配置を最適化することで、反射光の受光効率を高めている。背面クリスタルには透明部と不透明部のジルコニアを熱と圧力で一体成形する構造を取り入れ、LEDと受光素子を効率的にレイアウトした。


