気候・環境

2026.09.15 09:57

すでに逃した気候目標と、まだ築けていない産業

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新たに公表された、1.5°C超過(オーバーシュート)に関する国連環境計画(UNEP)の報告書には、科学というより告白のように読める一文が埋もれている。著者らは、そこで推奨する道筋について「残された最善の選択肢にすぎない」と記している。

この10年、気候変動をめぐる議論は1.5°Cを回避することを軸に組み立てられてきた。UNEPは今、その議論は終わったと述べている。温暖化は数年以内にその線を越える。各国の計画とネットゼロ公約がすべて完全に実行されたとしても、それは楽観的な前提だが、世界の気温上昇は1.8°C近辺でピークを迎える。目標は変わっていない。しかし私たちは、その目標に上から近づかざるを得ない。

排出をゼロにするだけでは、温暖化の進行を止めるにすぎない。気温を下げるには、すでに大気中にある二酸化炭素を除去しなければならない。報告書の最良推計によれば、世界の気温を0.1°C下げるには、約2200億トンのネットネガティブなCO2が必要になる。人類は年間400億トン超を排出している。現在の世界的な植林ペースでは、その0.1°C分を実現するだけでおよそ1世紀を要する。

そのため報告書は、2つの点を同時に率直に示している。炭素除去は排出削減の代替にはならない。楽観的に規模拡大しても、今世紀中に得られる効果は数十分の1°Cにとどまる。それでもなお、除去は不可欠である。1.5°Cへ戻るあらゆる道筋が、炭素除去に依存している。直接空気回収(DAC)のような工学的手法は、現在の除去量の0.1%未満にすぎないが、今世紀半ばまでに年間9億〜64億トンのどこかまで引き上げる必要がある。

そこに、より静かなもう1つの数字がぶつかる。モデルによれば、ネットゼロ時点でも、セメント、鉄鋼、航空、化学から年間100億トン以上の残余CO2がなお排出される。除去が冷却に寄与するには、その前に残余排出1トンごとに除去1トンを対応させなければならない。

だからこそ、煙突で炭素を捕捉することと、大気から炭素を取り除くことは、競合する優先事項ではない。同じプロジェクトなのである。セメントだけで世界のCO2排出量の約8%を占め、その大半は燃料ではなく化学反応に由来する。石灰石を加熱すれば、窯の動力源が何であれCO2が放出される。ノルウェーにあるハイデルベルグ・マテリアルズのブレビク工場は、セメント窯に設けられた初の商業規模の回収施設で、現在は年間約40万トンを回収している。これは現実の成果だが、ほぼ孤立した事例でもある。Global Cementの5月時点の集計は、2035年までに回収される業界排出量は2%未満にとどまり、ベルギーとスウェーデンの旗艦プロジェクトは停滞していると予測している。

なぜか。率直に言えば、世界の関心と資本が別の場所へ向かったからだ。米国の大手クラウドプロバイダー5社は今年、AIインフラに6600億〜6900億ドル(約107兆円)を投じる計画だ。英国の防衛投資計画は、4年間で2980億ポンドを投じるとしている。OECDの6月見通しは、こうした予算を維持すれば、各国政府が気候変動対策を先送りする可能性があると警告している。困難な初期技術に向かう資金は細っている。シードおよびシリーズAの気候投資は、約10年ぶりに2025年に減少し、気候資金に占める初期段階投資家の比率は2021年の約20%から8%未満に低下した。これは、特に炭素回収、低炭素セメント、グリーンスチールにとって悪い知らせである。

こうした優先順位は不合理ではない。分断された世界には防衛が必要だ。しかし、この取引の構造に注目すべきである。防衛とAIは、国家や企業が自らのために購入し、単独で利益を得られるものだ。炭素除去はその逆である。多くの国がそれを築き、検証し、国境を越えて貯留を共有して初めて効果を発揮する公共財だ。UNEPは、信頼できる除去には測定基準と多国間ガバナンスが不可欠であり、それらはまだ大規模には存在していないと明言している。私たちは、自らの政治に合う問題には資金を投じ、そうでない問題を飢えさせている。

公平を期せば、政策は動いている。ただし必要な速度には達していない。7月17日、欧州委員会は恒久的除去を初めて排出量取引制度に組み込むことを提案した。公的機関が、排出枠の競売収入を財源として、2031〜2040年に直接空気回収とバイオCCS(炭素回収・貯留)による除去を2億5000万トン分購入するというものだ。これは、企業の善意に委ねるのではなく、コンプライアンス水準の除去需要を創出しようとする初の本格的な試みである。ワシントンでは、インフレ抑制法の大半を骨抜きにした2025年の同じ法案が、固定発生源からの回収で1トン当たり85ドル(約1万円)、直接空気回収で180ドル(約2万円)の45Q税額控除を維持した。さらに4月、オタワはCCUS(二酸化炭素の回収・有効利用・貯留)投資税額控除を拡大し、アルバータ州は2040年までに1トン当たり130ドル(約2万円)に達する産業向け炭素価格を約束した。

最後に置くべきは、UNEP自身の枠組みである。オーバーシュートは、諦めの根拠ではない。緊急性の根拠であり、私たちの後始末を担う産業を今築くべきだという根拠である。

Forbes.com 原文

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