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2026.09.16 10:45

アドビ株価が2倍に跳ね上がる条件は「1億人の無料ユーザーの課金」にある

MichaelVi - stock.adobe.com

増えた無料ユーザーは課金し始めているのか

フリーミアムで集めたユーザーが課金を始めるかどうか。投資判断はこの一点にかかっている。あるアナリストは、6月時点の見通しが「フリーミアム戦略に一段と踏み込むことによる逆風」と値上げの先送りによる逆風を挙げていたことを持ち出し、それぞれがどれだけの負担になったのかを尋ねた。同じアナリストは、先送りしているCreative Cloudの価格改定をいつ再開するのかも問うた。

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CEOのシャンタヌ・ナラヤンは、価格の見直しに力を注がなかったのはよかったと答えた。値上げをすれば「短期的な下支え」にはなったかもしれないが、それよりも新しいユーザーを獲得するほうが大事だった、というのがその理由である。経営陣の説明によれば、全事業を合わせた月間アクティブユーザーは前年同期比で20%以上増え、10億人を超えた。

使われる量が増えれば収益に変わる、という兆しは早くも出ている。FireflyアプリとFireflyのクレジットパック(生成AIを使うための「生成クレジット」を買い足す仕組み)から生まれるARRは、前四半期比で40%伸びた。経営陣はこの伸びを、それだけ使い込まれるようになったためだと説明している。AIを前面に据えた製品群のARRは、いまや6億5000万ドル(約1010億円)を超え、前年同期比で150%以上の伸びである。

経営陣は、AIの生成クレジットの消費も加速していると述べた。とはいえ、アドビ全体のARRが275億ドルに達していることを踏まえると、AIを前面に据えた事業はまだごく一部にすぎない。

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利用状況を示す初期の指標は伸びている。だが、フリーミアム戦略はまだ新規ARRを目立って押し上げるところまで来ていない。この鈍りが、フリーミアムに踏み込むために織り込み済みの代償なのか、それとも需要そのものが弱まっている印なのか。そこはまだ決着していない。そして、この問いに答えるのは、まもなくアニル・チャクラバーシーの役目になる。米国時間12月1日付でナラヤンの後を継いでCEOに就き、ナラヤンは執行会長に回る。

株価倍増へのシナリオはあるか

2倍への道筋は2つあり、利益の成長だけに頼る道は遅いほうだ。アナリストは、調整後の1株利益を今期は24.48ドル前後、2027年度は27.71ドル前後と見込む。PERがいまの水準のままなら、この伸び方では2倍には遠く及ばない。

しかも、この予想はすでに利益率の改善を織り込んでいる。利益が売上高より速く伸びる形になっているからだ。速いほうの道はPERそのものだ。市場がアドビの利益にかつてに近い値を付けるには、成長が戻ってくると信じられる材料が必要だ。

その材料としていちばんはっきりしているのは、フリーミアムの土台が広がり続けるなかで新規ARRが増加に転じることだ。次の試金石は、12月に見込まれる2026年度第4四半期の決算である。経営陣はこの四半期の売上高を68億〜68億5000万ドル(約1兆540億〜1兆620億円)と見込んでいる。2025年3月から2026年6月までの6回の決算のうち5回で、発表後の2営業日に株価は下げている。

道のりも平坦ではなかった。この1年、株価は2025年9月の高値から47.4%下落し、2026年6月の安値を付けた。9月11日時点でも、その高値を31%ほど下回っている。

2倍は現実的な話か、それとも計算上の話にすぎないのか

現在のところ、2倍は計算上の話だ。現在の利益水準なら、PERが元に戻るだけで株価は2倍になるし、利益率は問題になっていない。足りていないのは、フリーミアムのユーザーが有料の顧客に変わり、しかもそれが新規ARRを動かすほどの規模になっているという証拠である。

フリーミアムの土台が広がり続けるなかでこの数字が増加に転じれば、市場がかつてに近いPERを付ける余地はある。新規ARRが戻らなければ、10倍台前半というPERは、アドビが無理なく保てる基礎的な成長率を市場が下方に見直した結果を映しているだけ、ということなのかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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