──これまでの経営を振り返って、ご自身はどのような経営者だと思いますか。
渡邉:自分では楽観主義者だと思っています。大抵のことは何とかなると考えますし、過去の判断をいつまでも後悔することもありません。ただ、会社が最初から順調だったわけではありません。
創業当初は、野菜の生産者と消費者をつなぐECサイトを立ち上げ、その後は実店舗で野菜を販売しました。現在の事業にたどり着くまでの2年足らずで、2度のピボット(事業転換)を経験しています。「OFFICE DE YASAI」を始めてから資金繰りが逼迫した時期には、給与を払えなくなる可能性があったため、社員には無理に会社に残らず、転職して構わないと伝えたこともあります。
コロナ禍では、オフィス向けの需要が落ち込むなか、できることは何でも試しました。自宅向けのサービスを立ち上げようとしたものの、現場から品質を維持するのが難しいと指摘され、1週間ほどで撤回しました。冷凍スムージーの販売にも取り組みました。まず試してみて、難しいとわかれば早く引く。そうした判断は比較的速いほうだと思います。
一方で、将来像を描ける事業には、時間をかけて取り組んでいます。サラダの自動販売機「SALAD STAND」は、そのひとつです。7年前に始め、収益化はこれからですが、現在は京都市役所前駅やJR京橋駅の構内などにも設置しています。空港や新幹線の駅のホームなどに自動販売機があれば、健康的な食事を手に取りやすくなる。「OFFICE DE YASAI」で培ってきた物流網を生かし、オフィスの外にもサービスを広げていきたいと考えています。
──創業から14年を経ての上場となります。今回の上場は、KOMPEITOにとってどのような意味をもつと考えていますか。現在の心境も踏まえて教えてください。
渡邉:会社をつくった当初は、誰にも知られていませんでした。それが14年かけて上場までたどり着き、これまでKOMPEITOを知らなかった人にも知ってもらえる。投資というかたちで応援してくれる人や、会社に期待してくれる人が増えることが、率直にうれしいです。
多くの人に会社を知ってもらえれば、一緒に働く仲間にとっても、自分たちの会社をより誇りに思えるきっかけになると思います。寄せられる期待に応えられるよう、これからもがんばりたいですね。
KOMPEITO(コンペイトウ)◎2012年9月設立。オフィスに冷蔵庫・冷凍庫を設置し、サラダやフルーツ、惣菜などを提供する設置型健康社食サービス「OFFICE DE YASAI(オフィスでやさい)」を展開。初期導入費、月額利用料、商品代金を主な収益源とし、地方銀行などとの連携を通じて導入企業を拡大。26年5月末時点の契約社数は6644社。26年8月期第3四半期累計の連結売上高は70.5億円、営業利益は6.7億円。今期は売上高98.7億円、営業利益8.8億円を[MK1] [202] 見込む。
渡邉 瞬(わたなべ・しゅん)◎1983年神奈川県生まれ。横浜市立大学を卒業後、日本能率協会コンサルティングに入社。サプライチェーンマネジメント系コンサルタントとして従事したのち、2012年9月にKOMPEITOを創業。自社株の保有比率は21.85%(8月12日時点)。


