──公募5万株に対し、既存株主による売出しは413万9300株となっています。今回、公募を小規模にとどめた理由を教えてください。
渡邉: いまは主力事業でキャッシュを生み出せているので、その資金を再投資することで事業を伸ばせます。大きな資金が必要になるのは、M&Aや海外事業を本格的に拡大するときです。
ただ、米国事業はまだPMF(プロダクト・マーケット・フィット)前です。現在はロサンゼルスを中心に冷凍弁当のサービスを展開しながら、どんな商品や提供方法なら現地の顧客に継続して利用してもらえ、事業として拡大できるのかを検証しています。そのため、現時点で大規模な投資をする段階ではありません。一方、M&Aも現在は銀行からの融資で進めることができています。
つまり、目の前に大規模な資金需要があるわけではありません。今回はまず上場によって信用力を高め、本当に大きな資金が必要になったときに、その時点で最適な手段で調達することを考えています。
──25年8月期の連結売上高は57.4億円でしたが、26年8月期は第3四半期累計ですでに70.5億円と、前年通期を上回っています。営業損益も約2.3億円の赤字から6.7億円の黒字に転換しました。黒字化の主な要因は何でしょうか。
渡邉:何か大きな転機があったわけではありません。
昨期までは広告宣伝や人材採用などに先行投資を続けてきました。今期は契約社数と売上高が伸びたことで粗利益が増え、固定費の負担を吸収できる事業規模になったことが、黒字化につながりました。
前期からは収益性を高めるため、弁当など1食で完結する単価の高い商品を戦略的に増やしたところ、利用が伸び、既存顧客の利用単価も上がっています。
上場承認後のロードショー(機関投資家向けの説明会)でも、事業の独自性や売上と利益の成長に加え、食品を扱う事業としては利益率が高い点について、一定の評価をいただけたと受け止めています。
──値上げを続けながら、26年5月末時点の月次解約率は直近12カ月平均で1.1%にとどまっています。顧客が利用を続ける理由はどこにあると考えていますか。
渡邉:最もわかりやすい強みは、品ぞろえです。サラダやフルーツなど、健康的なイメージのある多様な生鮮品を、全国のオフィスへ届けられる。現在は月間約160品をそろえ、その一部を毎月入れ替えているため、年間を通じて利用者が選べる商品はさらに多くなります。


