ただし、これを実現できるのは、適切な基盤が整っている場合に限られる。この潜在能力を最大限に引き出すためにチームは、確固たるデータ品質とガバナンスに加えて、AIの各活用場面における明確なビジネス目標を確立する必要がある。
リーダーは、特定の問題の解決や、重要な機会の活用に明確に焦点を当てることで、日々の業務プロセスや意思決定において最も理にかなったユースケースを特定できる。そうすることでAIは、単なる技術スタックへの追加にとどまらず、真の価値を生み出すことができるのだ。
今から始める3つのステップ
ステップ1:意思決定のリストを作成しよう。個人やチームに対して、「繰り返し行なっていて、かなりの時間を費やしている意思決定」を20個特定するよう依頼する。テクノロジーから始めるのではなく、意思決定から始めよう。
・繰り返し行っている意思決定はどれか?
・多くの情報が必要な意思決定はどれか?
・現在、時間がかかっている意思決定はどれか?
・測定可能な成果がある意思決定はどれか?
・大きな損失をもたらすミスはどれか?
これらは、AIの使用拡大に向けた最適な対象項目となる。
ステップ2:人間とAIによる意思決定のループを構築しよう。従業員に対して、単に「AIを使え」と指示するのではなく、明確なワークフローを設計するのだ。
・AIはどのような情報を収集するのか?
・AIはどのような分析を行うのか?
・AIはどのような提案を行うのか?
・人間は何を検証するのか?
・最終的な決定権は誰にあるのか?
・AIが誤った判断をした場合に何が起こるのか?
・組織は、得られた知見をどのように共有・保存するのか?
上記のなかでも、最後の問いは極めて重要だ。目標は、より良くなるシステムを作ることであるべきだ。
ステップ3:生産性を評価するだけでなく、意思決定を評価しよう。従来のAIの評価指標では、多くの場合、削減された時間数や、導入されたライセンス数に重点が置かれてきた。より適切な評価指標としては、コンバージョン率、サイクルタイム、予測精度、顧客維持率、欠陥率、従業員の処理能力、意思決定の質、従業員一人当たりの収益などが挙げられる。
最終的に問われるべきは、従業員がAIを利用しているかどうかではない。より良い意思決定が、より良い成果を生み出しているか、ということだ。
日々の意思決定を、意味のある違いに変える
適切なAIイノベーションは、ビジネスリーダーが日々下す意思決定に対して、強力な洞察力と自動化をもたらす。自分の日常の業務プロセスにデータの可視化やワークフローの効率化、最適化を組み込むことで、あらゆる行動においてより情報に基づいた(そしてより最適化された)意思決定を行うことができるようになる。
こうした取り組みが積み重なるにつれて、強力なスノーボール効果(雪だるま式の相乗効果)が生まれ、日々の些細な場面だけでなく、ビジネスに大きな影響を与える高レベルの意思決定においても、競争上の優位性がもたらされるだろう。


