サイエンス

2026.09.15 18:00

食料無限の「ネズミのユートピア」が崩壊した理由、人間社会との類似点

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カルフーンは、社会生活を営む種が「密度の壁」に突き当たるのは、「資源の壁」に突き当たるよりもはるか手前であると主張した。なぜなら、「各個体に提供され得る社会的役割の数」が決定的な制約となるからだ。

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ここまでの主張は、おおかた正当と考えられる。しかし、これを基盤にして築き上げられた説については、そのほとんどが議論を呼んでいる。ユニバース25の結末は、1970年代には、人間が住む都市環境について警告する予言と捉えられていた。実際、2009年に『Bulletin of the World Health Organization』に掲載された分析論文によれば、人間社会との類似点は、カルフーンの研究データで裏付け可能な範囲をはるかに超えて、一般の人々の間で強調されたという。

過密状態が、ヒトにも影響を与えるのは間違いない。1998年に『Child Development』に掲載された研究論文では、狭い家に家族がひしめき合う家庭環境が、学校での問題行動と関連しており、特に男子の場合は血圧上昇につながっていることが裏付けられた。

しかしこうした傾向は、ネズミの実験におけるビヘイビアラル・シンクに似た状況というよりは、家庭内の不和や自己コントロール感、社会からの支援について関連性が認められた。

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カルフーンがネズミに関して描写した、「繁殖のための身体的な能力は維持されているが、繁殖行動から遠ざかる」というメカニズムが、人間社会で見られた例はない。確かに、人口密度が高い国では出生率が急落しているが、これは主に経済的・社会的な要因が引き金になっており、密集していることのストレス自体が要因ではない、というのが一般的な専門家の意見だ。

生物学者からは、より基本的な異議も提出されている。それは、カルフーンが実験で用いた檻には、ストレスにさらされた動物が通常であれば得られる選択肢が存在していなかった点だ。つまり、「その場を去る」という選択肢だ。

集団を去ることは、げっ歯類の集団が、個体数を調節する際の標準的な行動の一つだ。2005年に『Biological Journal of the Linnean Society』に掲載されたレビュー論文では、こうした行動を取る可能性が最も高いのは若いオスの個体で、支配的なオスからの攻撃によって排除されたのちに群れを去るとしている。

これはまさに、ユニバース25から去ることもできず、「ドロップアウトたちの吹きだまり」に落ち込んだ個体たちのことだ。カルフーンの記録は、過密状態それ自体というより、「出口のない社会」の末路について語っているのかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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