経営・戦略

2026.09.18 08:15

伝説のバンカー・大櫃が語る、伸びるリーダーの条件(第2回) 弁護士ドットコム・元榮の「逆張り」はなぜ外れないのか

AIで揺らぐ法律業界に、次の勝ち筋を描く

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いま、その力があらためて問われているのが、生成AIへの対応です。

ChatGPTをはじめとする生成AIの進化によって、法律に関する情報を調べたり、文書の草案をつくったりと、これまで専門家が担ってきた仕事の一部をAIが支援できるようになってきました。そうなると当然、「弁護士に相談する必要はなくなるのではないか」「弁護士の仕事そのものがAIに置き換わるのではないか」という議論も出てきます。

弁護士を支える事業を展開してきた会社にとって、一見すると逆風にも見えます。しかし、元榮さんはむしろ好機として捉えています。
法律の世界では、答えがもっともらしいだけでは足りません。最近では、法令や判例に基づかない、間違った文書が散見されます。どの法令や判例を根拠にしているのかを示す必要があり、最後は専門家が判断する必要があります。だからこそ、AIを使わないのではなく、AIを使わないのではなく、法律実務で安心して使える形にすることに価値がある。

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その考えを具現化したのが、25年5月に提供を始めた統合型・法務AIエージェント「LegalBrain エージェント」です。まだ売上規模そのものは公表されていませんが、提供開始から14カ月時点のARR(年間経常収益)は、同じ時期のクラウドサインと比べて30倍を超えるペースで成長しているといいます。
多くの人が危機だと見る変化のなかに、逆に新しい事業の可能性を見つける。私は、そこにも元榮さんらしさを感じます。

サーフィンでいい波に乗るには、サーフボードに早く立ちすぎてもいけないし、遅くても乗り遅れます。ちょうどいい瞬間を捉えなければならない。

なぜ、元榮さんはそのタイミングを捉えられるのか。私には、一つしか答えがありません。ずっと、法律の世界の次を考えているからだと思います。常識で判断すれば、身を引くべき局面がいくつもありました。それでも元榮さんは、そのたびに逆張りを貫いてきました。すでに訴訟実務の約2割にAIが関わり始めているといわれるいま、法律の世界の常識も日々更新されています。それでも動じず、次の波を捉えようとする姿勢は、今回も変わりません。淡々として見えるのに、誰よりも執着する。それが、元榮太一郎という経営者なのだと思います。


おおひつ・なおと◎ミダスキャピタル専務取締役パートナー。1988年、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。複数の営業店勤務を経て、本部にてM&A業務や法人取引獲得を推進。2022年に同行常務執行役員リテール事業法人部門・副部門長に就任。スタートアップ企業の経営者と年間1000社と面談を重ねてきた。24年に銀行員として初めてNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演。25年4月、ミダスキャピタル社外取締役、同年10月から現職。

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