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2026.09.14 09:53

デジタルトランスフォーメーション:新技術に今なおレガシー人材が必要な理由

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スタートアップアクセラレーターのような、変化の激しい世界では、若さが尊ばれる一方で、テクノロジーの進化が早すぎるために、年齢を重ねることは軽視されたり、敬遠されたりしがちだ。しかし、この急速な変化のなかで、筆者は新たな形の「シニアモーメント(ベテランが力を発揮する瞬間)」を目にしている。原子力発電、メインフレーム・コンピューター、アナログ通信システム、あるいはメンターシップといった、ベテラン従業員が持つスキルが今、求められているのだ。

40代以上の世代は、採用担当者と対面で面接を行うことが当然とされる環境で育ってきたため、オンラインでの面接やコミュニケーション(有料記事)において、自身の本当の価値を伝えるのに苦労することがある。これにより、貴重なスキルセットを持っているにもかかわらず、機会が制限されてしまう可能性がある。

どのようなキャリアであっても、仕事を遂行するためには一定レベルの習熟度が求められる。そして、その習熟度は、学歴やAIが生成した要約ではなく、実務能力と経験によって構成される。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)は継続的な変革を必要とする一方で、古いアナログシステムを最新のデジタルシステムへとアップグレードすること自体にも、対処すべきリスクが存在する。

筆者の会社では、アナログ機器のテストを行うために、大学を卒業したばかりの若者を採用している。彼らのなかには、ファックスや56Kモデムを見たことも使ったこともない者もいるが、これらは現在の業務や当社のDX技術にとって不可欠なものだ。筆者の母であるローレンス・アタ博士の調査によると、ある原子力発電所の回答者の27%が、システム障害に適切に対応できる自信がないと答え、その理由の一つとして「まずシステムに慣れる必要がある」ことを挙げていた。一方で、こうしたシステムに精通している上の世代の人々の一部は、デジタルシステムの操作においてエラーを起こしやすい傾向がある。

だからこそ、企業が社内、あるいは顧客に向けてDXを推進する際には、少なくとも以下の点を考慮する必要がある。

・技術的な移行:一夜にしてすべてを切り替えようとしてはならない。例えば、従来のアナログ制御システムを、アナログとデジタルの両方の制御を組み合わせた「ハイブリッド」システムに変更するといった方法がある。

・テクノロジーと人間のインターフェース:さまざまな世代が新しいテクノロジーや古いテクノロジーとどのように関わるかをより適切に計画するためには、人とテクノロジーのインターフェースについて多世代視点で理解することが不可欠だ。

・安全性とヒューマンエラー:技術が進化する過程では、伝統的な知識が失われるリスクがある。それによりヒューマンエラーの可能性が高まり、安全性が損なわれ、導入コストが増大する恐れがある。

・知識の継承:退職者が去る際、従来のアナログシステムに関する数十年の専門的な経験も共に失われてしまうため、世代間のギャップを埋めるプログラムを実施することが極めて重要だ。チャーリー・ガルシアが自身のSubstackへの投稿「人類学者、アナーキスト、サイクリスト、外科医がAIレースに参入する:誰が勝つかを説明する4冊の本(An Anthropologist, an Anarchist, a Cyclist, and a Surgeon Walk Into the AI Race: Four Books That Explain Who Wins)」で述べているように、勝ち残る者は「3つのレベルすべてにおいて同じ問題、すなわち、人の中に知識を生かし続け、その人が去る前に知識を人から人へと移動させること」を解決するだろう。

・人材の引き留め(リテンション):企業は、熟練した人材がその分野にとどまるようにするための維持戦略を策定すべきだ。仮に彼らの主な職務が不要になったとしても、コーチングやメンターシップを提供したり、彼らの経験に基づいた関連するケーススタディを共有したりすることができる。

アトゥール・ガワンデの著書『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?[新版]:ミスを減らし、成果をあげる最適の道具(The Checklist Manifesto)』は、専門家が自身の経験や知識のうち、書き出すことができるわずかな部分を言語化することのメリットを示している。ミシガン州の集中治療室(ICU)では、チェックリストの導入により、3カ月以内に感染率が66%低下した(有料記事)。世界保健機関(WHO)が世界8カ所の病院でシンプルな手術用チェックリストを試験的に導入したところ、大手術における「手術関連の死亡および合併症の発生率を3分の1減少させる」ことができると分かった。

いまだにアナログシステムの運用に慣れている企業にとっては、レガシー技術を専門とする人材のプールは縮小しつつあり、毎年多くの技術者が退職している。

レガシー分野の専門知識が必要とされる例は、通信の世界に見ることができる。銅線の固定電話回線を移行するには、新旧両方の知識が必要となる。アナログシステムにわずかな変更を加えるだけでも、配線、切断、接続、ハードウェアの検証といった物理的な変更が伴う。これらの小さな変更は、しばしば人間とのインターフェースの調整を余儀なくさせる。しかし、デジタルへのアップグレードにより、かつては受動的だったシステムがよりスマートになる。さらに、AIの進歩により、ユーザーは独自の設計製造元に頼ったり、広範なトレーニングを受けたりすることなく、これらのシステムを理解できるようになる。

結論として、シニア世代の労働者は、新たな形の「シニアモーメント(ベテランが力を発揮する瞬間)」を迎えており、レガシーなアナログからデジタル技術への継続的な移行を支援するために、彼らのスキルと経験が必要とされている。

組織は採用にあたって、ITの移行、ユーザーインターフェース、安全性、知識の継承、そしてスキルの維持を考慮すべきだ。エネルギー源と同じように、スキルはどこで見つかろうとも価値がある。これは、しばしば軽視され、無視されがちなシニア世代にとって、十分に価値のあるキャリア復活の機会となり得る。今日のイノベーションが約束する未来は、彼らが築いた基盤の上に成り立っているのだ。

forbes.com 原文

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