現在の仕事に不満があるからといって、キャリア開発を立ち止まらせる必要はない。むしろ、次のステップに進む前の期間は、新しいスキルを身につけ、ネットワークを広げ、将来に向けてより有力な候補者となるための経験を積む絶好の機会になり得る。
新たな雇用主や職務が自分の成長に投資してくれるのを待つのではなく、今から準備を始めることができる。その手助けとして、Forbes Human Resources Council(フォーブス人事評議会)のメンバーが、現在のポジションを将来のキャリアを成功させるためのスプリングボード(跳躍台)として活用する実用的な方法を紹介する。
1. 自分の成果を記録し続ける
たとえ嫌いな仕事であっても、自分の成果を毎月リストに記録し続けよう。主導したプロジェクト、解決した問題、改善した数値など、すべてをその都度書き留めるのだ。転職活動を始めてから思い出そうとしても、何も覚えていないものである。日々記録することは、毎日の不満に満ちた業務への捉え方を変え、次のステップに向けて、曖昧な主張ではなく具体的な証拠を提示することを可能にする。ひどい職場を去る際、2年間も在籍していたにもかかわらず、単に記録していなかったという理由だけで、何もアピールできる実績がない人々を私は見てきた。── Odafe Ugbewanko、Dmidaf Global Consult Ltd
2. 解決できる課題を探す
垂直方向のキャリアアップだけに目を向けるのではなく、水平方向に視野を広げ、非効率な部分やプロセスのギャップ、ビジネス改善の機会を探すべきだ。課題を特定し、チーム同士をつなぎ、解決策を実行することで、戦略的思考、ビジネスセンス、そして影響力を養うことができる。今、測定可能な価値を生み出すことで、自身の役割に対するエンゲージメントが高まる。また、将来のキャリア機会において、リーダーとしての地位をより有利に築くことができる。── Hope Harris、Real Floors, Inc.
3. 関係性という資産に投資する
キャリアのあらゆる段階において、意識的に関係性という資産(関係資本)を培い、投資しよう。特に、一担当者からマネージャー、およびリーダーへと昇進するにつれて、「何を知っているか」と同じくらい「誰を知っているか」が重要になってくる。スポンサー、メンター、味方、そして支持者からなる強固なプロフェッショナルのネットワークを構築し、育むことは、プロとしての影響力と評判を高める。これらは新たな機会を手に入れるために不可欠な要素だ。── Ripa Rashid、Seramount
4. 次のステップに役立つスキルを身につける
行き詰まりを感じているなら、それは新たなスキルを構築すべきサインだ。自分がどこへ進みたいかを明確にし、その扉を開くスキルを1つ特定して、講座の受講やメンターシップ、あるいはストレッチアサインメント(背伸びが必要な課題)を通じて意図的に追求しよう。AIを活用して学習を加速させ、知識のギャップを迅速に見つけ、これまでのどの世代よりも早く新しいスキルを実践する。最高のキャリアの選択は、誰にも気づかれないうちに静かに進められるものだ。── Laura Coccaro、ICIMS
Forbes Human Resources Council(フォーブス人事評議会)は、あらゆる業界の人事エグゼクティブを対象とした招待制の組織だ。入会資格を満たしているか確認する
5. 現在の職務を教室として捉える
現在のポジションにとどまらず、将来進みたい場所へ導いてくれる自己啓発の機会を追求しよう。社内でネットワークを築き、自分が目指す職務に就いている人を見つけ、その人から学ぶのだ。キャリアの初期において、この意図的なスキル開発とネットワーク構築の組み合わせが、私を目標の場所に導いてくれた。現在の職務が自分の限界である必要はない。そこを教室として活用するのだ。── Yemisi Oloruntola-Coates、GBH
6. ストレッチアサインメントや部門横断的な機会を求める
従業員は継続的な学習マインドセットを持つべきだ。スキル重視の採用に移行する組織が増えるなか、部門横断的なプロジェクトや社内ギグ(短期の仕事)、ストレッチアサインメントを自ら求めることは、現在の職務に関係なく、雇用主がますます重視する適応力のあるスキル、経験、そしてレジリエンスを養うのに役立つ。── Nicky Hancock、AMS
7. 適応力と人間力を強化する
柔軟なマインドセットを育み、人間ならではのスキル(ヒューマンスキル)に焦点を当てることは、次のステップへの備えとなる。キャリア転換を目指す候補者のうち、当初は74%が前職と同じ職種を探していたが、最終的に58%がまったく新しいキャリアへと転換したのを私たちは見てきた。候補者が次の職を手にする上で、前の職種名よりも適応力の高さが役に立つのだ。── John Morgan、LHH
8. インスピレーションを与えてくれる人と関係を築く
私がこれまでに受けたキャリアに関する最高のアドバイスの1つは、自分にインスピレーションを与えてくれる人と意識的に関係を築くことだ。情熱や関心を共有できる仕事仲間、自分が目指す職務にすでに就いている人、あるいは自分が身につけたいスキルを持っている人を見つけよう。定期的に連絡を取り合う時間を確保するのだ。転職活動を始めるときや、大きな課題に直面するまで待ってはいけない。関係構築に投資し、相手から学び、また相手もあなたから学べるようにするのだ。── Sophia Okeke、The Center for Family Support Inc.
9. 現在の組織内で機会を探る
新たな雇用主が自分の成長に投資してくれるのを待ってはいけない。部門を超えた関係を築き、質問を投げかけ、関心のあるプロジェクトに自ら志願しよう。経験豊富な同僚から学び、自分の仕事が他の部署にどのような影響を与えるかを理解し、スキルを広げるのだ。転職を繰り返すことだけが答えではない。多くの場合、現在の組織内で次の機会に備えて体制を整えることこそが、最善のキャリアの選択となる。── Natalie Grabher、USA Hall of Frames, Inc.
10. 困難な仕事を通じて自分を成長させる
どのような仕事にも、次のステップに向けて学び、成長し、スキルを身につける機会がある。不確実な状況下でチームを率いる、他者に影響を与える、困難な課題を解決するといった、最も価値のあるスキルの一部は、困難な時期にこそ培われる。次の機会を待つのではなく、現在の場所で自分をさらに成長させる方法を探そう。── Niki Jorgensen、Insperity
11. 組織の内外でネットワークを広げる
現在所属している組織の内外で、強い信頼関係を築こう。接する人々から多くのことを学ぶことができ、そうした自然な交流が、身につけるべき最も重要なスキルや知識へと導いてくれる。人々が機会を知り、それを手に入れる方法として、今でも最も多いのはネットワークを介したものだ。AIの台頭に伴い、将来的にはこの傾向がさらに強まるだろう。── Sanja Licina、QuestionPro
12. 自分だけの「取締役会」をつくる
従業員は、現在の状況に関わらず、自身の専門的な能力開発に対して最終的な責任を負わなければならない。ポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)を主体的に築き、将来のキャリアで成功を収めるためには、自分だけの「取締役会(アドバイザー陣)」を意図的に構築すべきだ。信頼できるアドバイザーを厳選したグループを育成することは、より良い意思決定を下し、成長を加速させるために不可欠な、多様な視点と戦略的洞察をもたらしてくれる。── Sherry Martin
13. すべての職務やリーダーから学ぶ
完璧な仕事が見つかるまで、キャリア形成を待つのはやめよう。注意を払って見ていれば、どのような職務からも学ぶべきことがある。意思決定がどのようになされるかを学び、優れたリーダーを観察し、反面教師となるリーダーに気づき、自分の職務を超えてビジネスを理解するのだ。スキルは扉を開くが、判断力はその扉を開け続けさせる。── Nicole Cable、C3 Health
14. 本業以外の場所でポータブルスキルを開発する
関心のある分野でのサイドプロジェクト、オンラインコース、またはボランティア活動を通じて、ポータブルスキルの開発に焦点を当てよう。自分の実績を記録し、能力を示すポートフォリオを作成するのだ。また、積極的にネットワークを築き、業界のイベントに参加して、自分が目指す職務に就いているプロフェッショナルとつながろう。こうした準備をしておくことで、機会が訪れたときにすぐ行動できるようになる。── Jonathan Westover、Future State University
15. 現在の職務を超える能力を1つ身につける
意図的なストレッチアサインメント、部門横断プロジェクト、資格取得、あるいは外部への貢献などを通じて、現在の職務を超える能力を1つ身につけよう。目的は、単に資格を積み上げることではなく、学びと成果の確かな証拠を作ることだ。不満のある仕事であっても、現在の業務を将来のキャリア資本に変換することができる。── Britton Bloch、Navy Federal
16. 部門横断プロジェクトに自ら志願する
職務記述書(ジョブディスクリプション)の範囲を超えた、部門横断プロジェクトに自ら志願しよう。たとえ嫌いな仕事であっても、レジュメ(履歴書)に書く価値のあるスキルを構築し、ネットワークを広げ、将来の面接で語れる新鮮な実績を作ることができる。これに加えて、AI主導の世界でも通用する判断力、適応力、コミュニケーション能力、迅速な学習能力などのポータブルスキルを身につけよう。自分のキャリアの主導権を握るのだ。今いる場所で成長し、望む場所へ進もう。── Sheena Minhas、ST Microelectronics



