2026年、誰もが話題にしているのはAIだ。より正確にいえば、AIが検索、eコマース、検索エンジン最適化(SEO)に関する私たちの常識をいかに一変させようとしているかである。私は10年以上SEO業界に身を置いてきた立場から、一部の主張は誇張されていると自信を持っていえる。一方で、そうではないものもある。
2026年初頭、Invocaは米国の消費者を対象に調査を実施し、高額な買い物を検討する際にどのように情報収集しているかを尋ねた。ChatGPT、Gemini、Claudeなどの生成AIツールを購入プロセスのどこかで利用したと答えた人は約60%に上り、前年の41%から増加した。ベビーブーマー世代では、この割合が12カ月でおよそ3倍になった。
ここで重要な点がある。こうしたユーザーはAIに天気を尋ねているわけではない。「4人家族に最適な車は何か」「どのブランドのベビーカーを買うべきか」といった質問をしている。あるいは、あなたのブランドについて直接尋ねているのだ。
過去2年間の主な議論は、ほぼもっぱらトラフィックに関するものだった。たとえば、AIオーバービューがクリックに取って代わる、あるいは大規模言語モデル(LLM)からの参照トラフィックがGoogleからの参照トラフィックを上回る、といった話である。
トラフィックをめぐる議論は現実的であり、重要でもある。しかしその下では、さらに重要かもしれない別の変化が進んでいる。AIツールは今や、あなたのブランドについて見解を形成し、その見解を権威あるものとして、見込み顧客に直接届けているのだ。
そして、AIがあなたのブランドをどう評価しているかが、毎日の売り上げを失わせている可能性がある。
「うちはレビューが良いから大丈夫」ではもう通用しない
現在、eコマース事業のオーナーから私が受ける最も一般的な反応は、異口同音に次のようなものだ。「うちのレビューは問題ないから、これも大丈夫だろう」
AI主導のインターネットにおいては、それは通用しない。
AIモデルは、他にうまい表現が見当たらないが、厄介なほど客観的である。星5つのレビューが1000件あり、2023年に配送の遅さに触れたレビューが12件ある小売業者は、大規模言語モデルにとって「配送に問題がある小売業者」なのだ。レビューの量はブランドを守らない。レビューの古さもブランドを守らない。そして比率もブランドを守らない。
モデルはその苦情を拾い上げ、中立的に要約し、注文完了まであと2クリックという買い手に対して、そのブランドを特徴づける要素として提示できる。SEOが比較的寛容であるのに対し、LLMはかつてのGoogleのように文脈を重視する傾向がはるかに弱い。
B2Bにおける文脈
同様のメカニズムは、B2B(企業間取引)の文脈でも機能する。アナリストから高い評価を得ている一方で、APIの不具合を訴える2022年のHacker Newsのスレッドが拡散されたSaaS企業は、プロンプト次第で、アナリストの評価で定義される企業にもなれば、APIの不具合で定義される企業にもなる。ほとんどのマーケティングチームは、リアルタイムで自社のどちらの姿が買い手に提示されているかを把握できていない。
AIセンチメント監査の実際
これは、私のエージェンシーが過去12カ月、クライアントと最も多く時間を費やしてきた領域である。
私たちのエージェンシーでは、エンタープライズレベルのツールを使い、ChatGPT、Perplexity、Gemini、Google AIオーバービューなどを対象に、AIセンチメント監査を大規模に実施している。方法論は3つの取得レイヤーを軸に構成されている。モデルがあなたのブランドを紹介する際に用いる説明のトーン、同じ回答内で並べられる競合企業、そして結論を形成するために参照する第三者ソースである。
クライアントを次々に調査すると、結果には一貫したパターンが見られる。ブランド側が考えるAI上での可視性は、実際のAI上での可視性より高い傾向があり、時にはその差が極めて大きい。そして多くの場合、LLMのブランド認識に影響しているソースは、マーケティングチームが予測したものではほとんどない。また、実際に存在するネガティブなセンチメントは、ほぼ例外なく、ブランドが集中的に取り組めば対処できる特定の接点にたどり着く。
この作業で心強いのは、診断が正しければ、改善に向けた転換がいかに速く起こり得るかという点だ。1回のコンテンツサイクル内で、監査対象となるクライアントの大半は、モデルに影響している具体的な接点、直接修正すべきナラティブ、更新または置き換えが必要な第三者資産を特定できる。
そのデータをどう活用すべきか
AIセンチメントの監査は第一歩である。難しいのは、それに基づいて行動する段階だ。理由の一つは、行動項目が従来の意味でのマーケティング業務に見えない場合が多いことにある。まったく新しいプロジェクトというより、是正作業であることが多いのだ。
私たちが見てきたなかで最も前進したブランドには、共通して次の3つの原則が当てはまる。
1. ネガティブなテーマに自社コンテンツで直接対処する
モデルが苦情を提示している場合、ここでは同じ配送時間の例を使うが、最も速い修正策は、自社サイト上に権威性のある構造化されたコンテンツを公開することだ。発送速度、配送保証、フルフィルメントプロセスの運用実態について説明するのである。モデルはそれらのページを相互参照するようになり、自社ドメイン上に信頼できる反証ソースを与えることで、統合された回答が変わる。
2. 第三者による掲載をセンチメント入力として扱う
ブランドセンチメントに影響しているソースが、自社サイトではない場合もある。TechCrunchの記事、アナリストレポート、あるいは信頼される第三者サイト上の信用あるレビューは、AIモデルがあなたのブランドを特徴づける際に不釣り合いなほど大きな重みを持つ。
AIモデルに対する被リンク戦略は、SEOの権威性を高めるために用いる方法論と同一にはできない。AI時代には、モデルが信頼する特定の接点で掲載を獲得することが求められる。つまり、信頼を確立しているプラットフォームを探す必要がある。
3. 検索順位を監視するのと同じようにAIセンチメントを監視する
私の見方では、今後2年間で勝つブランドは、AIセンチメントを既存のレピュテーション報告のリズムに組み込む企業である。LLM内のセンチメント監査は、マーケティング業務の標準的な一部になるべきだ。
AIファーストのeコマースに備える
問題はもはや、AIが購買意思決定に影響するかどうかではない。すでに影響している。本当の問題は、あなたのブランドがそのナラティブを積極的に形成しているのか、それとも自社に代わって機械に任せているのかである。



