起業家

2026.09.15 14:00

ゼロから起業するより、地味なビジネスを買うべき理由

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長年にわたり、起業とは「新しい事業を始めること」だと考えられてきた。革新的なアイデアを考案して新製品を作り、顧客を獲得し、ビジネスとして成功させるというものだ。

しかし、近年では新たな起業のスタイルが注目を集めている。それは、既存の事業を買収するという道だ。こうした買収の対象となる企業は、必ずしも華々しいビジネスを手掛けているわけではない。例えば、空調設備会社や業務用清掃会社、会計事務所、設備メンテナンス会社、造園会社など、人々や企業が継続的に必要とするサービスを提供する企業である。

こうした事業が選ばれるのは、単に堅実だからということではない。優良な企業であれば、起業家が何年もかけて築こうとする基盤の多くを、既に備えている点にある。

買うのは「将来性」ではなく「実績」

起業家は、市場が存在することを証明しなければならない。顧客は製品やサービスを買ってくれるのか。十分な数の顧客を獲得できるのか。従業員を採用し、仕組みを構築し、最終的に持続可能なキャッシュフローを生み出せるのか。こうした点を実証する必要がある。

長く続く事業を築くのは容易でない。米国労働統計局のデータによると、2013年3月に設立された企業のうち、10年後も存続していたのはわずか34.7%に過ぎない。

既存の事業を買収したからといって、リスクがなくなるわけではない。しかし、アイデアから採算の取れる事業へと成長することを期待する代わりに、顧客や従業員、仕入先との関係、事業インフラ、そして長年積み重ねてきた財務実績を買い取ることができる。

さらに重要なのは、その会社が提供する製品やサービスに対して、人々が対価を支払う意思があるという証拠を手に入れることができる点だ。

地味なビジネスの需要には価値がある

地味なビジネスの多くは、今後もなくなることのないニーズに応えている。配管は水漏れを起こし、建物は清掃を必要とする。企業は帳簿をつけなければならない。設備にはメンテナンスが必要だ。こうした事業は、需要が既に存在しているため、必ずしも自ら需要を生み出す必要がない。

これは起業家にとって大きな魅力だ。優れたビジネスモデルは、必ずしも革新的である必要はない。リピート客や継続的な契約、高い利益率、そして安定した需要があれば、華やかさよりもはるかに価値のあるもの、すなわち「予測可能性」を生み出すことができる。そして今、こうした機会に気づく起業家が増えている。

スタンフォード大学ビジネススクールは、サーチファンド(起業家が資金を募り、既存企業を発掘して買収・経営する手法)のモデルを30年以上にわたって追跡調査してきた。同校が米国とカナダの主要なサーチファンド850件以上を対象に実施し、2026年に公表した調査によると、2024年と2025年に新たに立ち上げられたサーチファンドの数は過去最高水準にあった。買収先として特に選ばれることが多かった業種の一つがサービス業である。

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編集=朝香実

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