優れたリーダーになるには、より賢くなければならないのか?
「なぜこれほど頭の鈍い人間が最も立派なオフィスを手に入れられるのだろう」と疑問に思ったことがあるなら、それは単に「知能とリーダーシップ」の曲線の、見ている側が間違っているだけかもしれない。
多国籍企業のシニアリーダーおよびミドルリーダー約400人を対象としたある研究では、IQと「周囲から認識されるリーダーシップ」との間に、逆U字型の関係があることが判明した。知能が高くなるにつれてリーダーシップの評価も向上するが、その曲線はIQ約120でピークに達する。それを超えると、さらなる知的な強みはむしろリーダーにとって不利に働き始める。
示唆される理由は、実に人間的である。きわめて知能の高いリーダーは、不必要に複雑な解決策を提示したり、周囲の人々を置いてきぼりにするような方法でコミュニケーションをとったりすることがあるためだ。
ここから、2つの有益な教訓が得られる。
第一に、その場をうまく率いるために、部屋の中で最も賢い人間である必要はないということだ。周囲から「知的に見えるか(認識された知性)」は、従来のテストで測定される知能よりも、リーダーシップと強く相関していた。
第二に、知能は、自分の頭の中と他者の頭の中との間にあるギャップを乗り越えて初めてリーダーシップとなる、ということだ。
部下はアイデアを理解し、あなたを信頼してそれに従い、そこから有益な行動を起こせなければならない。ある一定のポイントを過ぎれば、自分自身の脳の馬力をさらに上げることよりも、すでに周囲に存在する馬力を連携させることの方がはるかに重要になる。
数十年にわたる研究から得られる教訓は、極めてシンプルだ。
「自分の知能を、他者の知能の掛け算(マルチプライヤー、増幅器)にせよ」ということだ。
あなたがもたらす「素材」が何であれ、それは重要である。だが、最終的にあなたをリーダーたらしめるのは、周囲の人間がその素材を使って何ができるか、なのだ。


